肥満外来|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

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肥満外来

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肥満、肥満症、メタボリック症候群について

肥満、肥満症、メタボリック症候群について

まず、肥満、肥満症、メタボリック症候群についてお話します。

肥満

「肥満」とは脂肪細胞が過剰に蓄積した状態で日本では、BMI(Body Mass Index:体格指数;計算式:体重(kg) / 身長(m)²)が25kg/m²以上の状態を指します。BMIをもとに肥満度を判定します。

 肥満度分類 

BMI

判定

< 18.5

低体重

18.5 ≤ BMI < 25.0

普通体重

25.0 ≤ BMI < 30.0

肥満(1度)

30.0 ≤ BMI < 35.0

肥満(2度)

35.0 ≤ BMI < 40.0

肥満(3度)

40.0 ≤ BMI

肥満(4度)

BMI 35以上」が高度肥満と定義されていて、診断や治療の対象と位置付けられています(日本肥満学会)。

 肥満症

「肥満症」とは、肥満(BMI ≧ 25kg/m²)があり、肥満が原因ないし関連する病気を合併し減量を要する(減量により改善または進展が抑えられる)状態を指します。また、肥満がありウエスト周囲径と検査によって内臓脂肪が蓄積した状態も「肥満症」と診断されます。

『肥満症診療ガイドライン 2022』による肥満症の診断基準は次のとおりです。

1)BMIが25以上である
2)減量を要する健康障害がある場合
3)減量を要する健康障害をともないやすい高リスク肥満
4)腹部CT検査によって内臓脂肪型肥満と確定診断された場合
1に当てはまるうえで、2~4のいずれかに該当する場合は肥満症となります。内臓脂肪型肥満と診断された場合は、現在は健康障害をともなっていなくても肥満症と診断されます。

肥満

肥満症

BMI ≧ 25kg/m² BMI ≧ 25kg/m²
11の健康障害※のうち、ひとつでも当てはまる場合
OR
減量を要する健康障害をともないやすい高リスク肥満
OR
腹部CT検査によって内臓脂肪型肥満と確定診断された場合

11の健康障害※のうち、ひとつでも当てはまる場合
1)耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)
2)脂質異常症
3)高血圧
4)高尿酸血症・痛風
5)冠動脈疾患
6)脳梗塞・一過性脳虚血発作
7)非アルコール性脂肪性肝疾患
8)月経異常・女性不妊
9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10)運動器疾患 (変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11)肥満関連腎臓病

メタボリック症候群

メタボリック症候群とは、内臓脂肪が過剰に蓄積されていることに加え、血圧上昇、空腹時の高血糖、脂質の異常値などがみられる状態のことをいいます。日本では、2005年にメタボリックシンドロームの診断基準を策定しました。下の図に示すようにウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。

 

必須項目

(内臓脂肪蓄積*1*
ウエスト周囲径*2 * 男性 ≥ 85cm;  女性 ≥ 90cm
内臓脂肪面積   男女ともに≥100cm2に相当

選択項目

(3項目のうち
2項目以上)

1.   高トリグリセライド血症*3*≥ 150mg/dL  
             かつ/または
     低HDLコレステロール血症< 40mg/dL  
2.   収縮期(最大)血圧≥ 130mmHg
                 かつ/または
       拡張期(最小)血圧≥ 85mmHg
3.     空腹時高血糖≥ 110mg/dL

*1*  CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
*2 * ウエスト径は立位・軽呼気時・臍レベルで測定する。脂肪蓄積が著明で臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘の中点の高さで測定する。
*3*  高トリグリセライド血症・低HDLコレステロール血症・高血圧・糖尿病に対する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
* メタボリックシンドロームと診断された場合、糖負荷試験がすすめられるが診断には必須ではない。

*糖尿病、高コレステロール血症の存在はメタボリックシンドロームの診断から除外されない。

メタボリックドミノ

メタボリック症候群では、肥満、特に内臓脂肪蓄積型肥満が病態の上流にあり、遺伝的背景(体質)に環境因子が加わり、各危険因子が経時的に連鎖することで動脈硬化性疾患を発症します。それぞれの危険因子の経時的な連鎖をドミノ倒しに見立てたものが「メタボリックドミノ」の図として表されます。

メタボリックドミノ
メタボリック症候群 – 慶應義塾大学病院 KOMPAS

肥満症・メタボリック症候群の治療

メタボリック症候群の治療は、「メタボリックドミノ」のドミノ倒しの駒が倒れるのを止めることと同じであり、初期の段階から積極的に介入し、メタボリック症候群の進行を止める必要があります。最上流では、個々の症例の生活習慣や体型に応じた適正体重目標体重を設定し、生活習慣の是正、食事、運動療法を指導します。

適正体重

適正体重= 身長( )m × 身長( )m × 22
適正エネルギー = 適正体重 ( )㎏ × 係数(25~30) = kcal/日

※係数とは身体活動量のことです。現代人の大部分がやや低いにあてはまります。
やや低い(ディスクワークが主な人・主婦)      25~30kcal/㎏標準体重
適度  (立ち仕事が多い職業:農作業・漁業など)  30~35kcal/㎏標準体重
高い  (力仕事の多い職業:土木建築業など)    35~kcal/㎏標準体重

目標体重

目標体重に関しては肥満症の方は現体重の3%を、高度肥満の方は現体重の5-10%減量目指します。この目標を自力で頑張るだけでは実現困難であることが多いです。当院で肥満の方の問題点を同定し、丁寧な食事療法・運動療法を指導することにより、効率的な減量をお手伝いいたします。

肥満症 高度肥満

25 ≤ BMI < 35.0

BMI ≧ 35kg/m²
減量目標設定 現体重の3%以上 現体重の5-10%
減量治療 日々の体重測定+食事療法+運動療法
目標達成できない場合

食事療法の強化

薬物療法の導入など

食事療法の強化

薬物療法の導入

減量手術など

減量治療

減量治療の基本は、食事、運動、行動療法などのライフスタイル改善療法です。薬物治療や胃の一部を切除する外科手術を受ける方法もありますが、いずれにしてもライフスタイルの改善は必須です。

しかし実は減量は大変です。1kg減量するには

・約7,000kcalのエネルギーのマイナスバランスが必要である。
・茶わん1杯分(約150~200kcal)のご飯相当を1日の食事量から減らせば、約1~1.5か月で約1kgの減量につながります。
・1日に8千~1万歩のウォーキングを約1か月実施することで、約1kgの減量につながります。また、「駅では階段を利用する」、「テレビのリモコンは使わない」といったわずかな工夫をお勧めします。

実は食事・運動療法は続けることが何よりも難しいため、一人の減量治療は上手くいかないことは多いです。努力して体重を減らせても、やめたとたんに体重が戻り、あるいはそれ以上に体重が増えてしまう「リバウンド」の可能性もあります
健康的に痩せるためには、できるかぎり医師や栄養士の支援を受けながら、一人ひとりに合った食事療法と運動療法を行います。いかに生活の中に無理なく自然に取り入れるかを工夫することで、食事療法と運動療法の効果が高まります。
当院の肥満外来では、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせた効果的な治療法を提案します。肥満で悩んでいる方はぜひお問い合わせください。

肥満外来の診療の流れ

1

問診・カウンセリング・メディカルチェック

患者様の生活習慣や食生活などについて話し合い、太ってしまった原因を突き止め、どのように食事療法と運動療法、及び生活改善を行っていけば良いかを見極めます。

2

血液検査

血液検査、内臓脂肪の検査などを行い、肥満の原因をより深く追求し最適なダイエット計画を立てていきます。

3

ダイエットプログラムのご提案・実行

医師による分析をもとに、効果的で無理のかからないダイエットプログラムをご提案いたします。食事日記や毎日体重を測るなどの認知行動療法をはじめ、食欲を抑制する効果がある薬や、脂肪成分の吸収を抑える薬を処方することも可能です。必要に応じてそうした薬剤を上手に服用しながら、食事療法や運動療法などを続け、肥満を解消していきます。
〜食事療法の流れ〜
・減量計画の提案
・アドバイスをしつつ、進捗状況の確認
・今後のアドバイスやリバウンドをしないようにご相談をお受けします

4

アフターフォロー

ダイエットの効果を確認しながら、ダイエットを進める上での悩みなどについて話し合い、アドバイスします。

肥満外来で健康保険が適用されるケース

GLP-1受容体作動薬であるウゴービ皮下注、「肥満症」の効能または効果を有する医療用医薬品として2024年2月22日に発売されました。約30年ぶりの新薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることにより、食事の量を減らしてカロリー摂取量を抑え、体重減少を促す作用があります。一方肥満症の方は誰でも使えるお薬ではありません。適応症はかなり限定的です。

  1. 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれか1つ以上の診断がなされている
  2. BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、またはBMIが35kg/m2以上
  3. 適切な食事療法・運動療法を実施している
  4. 高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病に対して、適切な治療を実施している

上記の条件を満たしたうえで頻回の管理栄養士による栄養指導をおこなうことが条件になっています。具体的には、

  • 適切な食事療法・運動療法に関わる治療計画を作成し、6か月以上実施しても十分な効果が得られない患者であること
  • 6か月の間に2か月に1回以上の頻度で管理栄養士による栄養指導を受けた患者であること。

また処方できる医師と医療施設の条件もあります。当院は処方できる医療施設ではありませんが、高度の医療機関に紹介可能です。自分は適応患者であるかどうかについては、気軽にご相談してください。

このような方はご相談ください

・糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風、脂肪肝などの生活習慣病を指摘されている
・腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上ある
・BMIが27以上である
・お腹が出ているのに、皮下脂肪を少ししかつまむことができない
・最近急に体重が増えた
・慢性的な腹部膨満感や便秘がある
・お腹が空いていないのに食べていることがよくある
・過度のいびきや睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるなど

失敗しやすい例

・食事量は少ないですが、カロリーの高いものを食べてしまう。
・食事の栄養バランスが悪い:糖質(ご飯や麺)に偏った食事は血糖値が上がりやすく、脂肪もつきやすくなります。
・まったく運動していない(筋肉量が低く、代謝が悪いために痩せにくい)
・そもそも太っていない(BMI<27, 健康障害のない方は効果が出にくい)
・脂肪細胞は、肥大して老廃物を溜め込むとセルライトという状態。いわば「頑固な油汚れ」のようなもので、食事制限や運動を頑張っても、ダイエットの成果が得にくくなります。

成功しやすい例

・過食や間食などによる過剰なカロリー摂取は避け、腹八分目を守り、バランスのとれた規則正しい食事をとりましょう。
・食事の厳しいルールはなくても、できるだけ摂取カロリーを控えるように心がけてください。
・カロリーの低い食べ物はキノコ、わかめ、蒟蒻、野菜などです。
・食事の栄養バランスを考え、歯ごたえのあるカロリーのひくい食事をゆっくり噛む
・アルコールを控える
・ストレス解消を心がけ、適度な運動などで気分転換しましょう。
・ウォーキング、水泳などの無理なくできる運動を続けるよう心がけましょう。