呼吸器疾患|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

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呼吸器疾患

呼吸器疾患|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

呼吸器疾患について

呼吸器疾患は、呼吸器系に影響を及ぼす様々な病気や障害の総称です。呼吸器系は鼻、口、喉、気管、気管支、肺などから構成されています。、呼吸器疾患は、それらの臓器が機能不全を起こしたり、悪性疾患が発生することで生じます。
呼吸が困難になる、咳や喀痰が続く、胸痛が発生するなど、さまざまな症状が現れることがあります。

呼吸器疾患の主な症状について

このような症状がある方はご相談ください。

・長引く咳
・夜間・朝方に呼吸がヒューヒューする
・動くと息切れがする
・息苦しい
・熱がある
・鼻水
・ 喉が痛い
・痰が多い
・痰に血が混じる
・胸が痛い
・ 体がだるい
・いびき
・日中眠い

呼吸器疾の主な病気について

・気管支喘息
・咳喘息
・アトピー咳嗽
・季節性喉頭アレルギー
・上気道咳症候群(後鼻漏)
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・肺がん
・間質性肺炎

様々な咳嗽 (感染性咳嗽、非感染性咳嗽、急性咳嗽、慢性咳嗽、遷延性咳嗽、乾性咳嗽、湿性咳嗽)

咳嗽はありふれた病気ですが、咳の原因、期間や性状によりさまざまなタイプに分けられます。

咳の原因による分類

抗生剤が奏功するのは細菌に対してだけであり、ウイルスには効きません。抗生剤の適切使用のためには、細菌感染をいかに適切に診断し治療できるかどうかが重要です。膿性痰の有無、炎症反応、胸部レントゲンなどを参考に診断します。

種類

原因

感染性

ウイルス性
  • インフルエンザウイルス
  • RSウイルス
  • ライノウイルス
  • コロナウイルス
細菌性
  • 肺炎球菌
  • インフルエンザ桿菌
  • モラキセラ
  • マイコプラズマ
  • 百日咳

非感染性

咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎による咳、慢性副鼻腔炎、肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺がんなど。

咳の期間による分類

種類

期間

原因

急性咳嗽 ~3週間 感染性(細菌やウイルス)が多く、感冒、感冒後咳嗽、急性副鼻腔炎、細菌性肺炎など

遷延性咳嗽

3週間~8週間

感染性:百日咳やマイコプラズマ感染症の可能性、細菌性肺炎など。

感染症以外:咳喘息やアトピー咳嗽、逆流性食道炎など。

慢性咳嗽 8週間~ 咳喘息やアトピー咳嗽、逆流性食道炎に加え、慢性副鼻腔炎、肺結核、肺非結核性抗酸菌症、肺がんなど。

 

咳の性状による分類

  • 乾性咳嗽(かわいた咳)
  • 湿性咳嗽(痰が出る咳)
種類 原因
乾性咳嗽
食染後咳嗽、咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流、後鼻漏症候群、間質性肺炎、百日咳、心因性習慣性咳嗽、ACE阻害薬など
湿性咳嗽
副鼻腔気管支症候群、慢性気管支炎など

様々な肺炎(細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、非定型肺炎)

肺炎は肺の炎症性疾患の総称であり、臨床では、咳嗽や呼吸困難など呼吸器症状があり、胸部レントゲン写真で新規の陰影があれば、肺炎の診断となります。肺炎は代表的な呼吸器疾患ですが、その機序は多様であり、広く鑑別診断が挙がります。

肺炎の種類

肺炎を診療する際に、「感染性肺炎か非感染性肺炎かを考える」ことが非常に重要であす。なぜかというと感染と非感染では治療が、全く異なるのです。

感染性肺炎は大きく3つのタイプに分かれます。肺炎の原因となる病原微生物には、細菌(細菌性肺炎)、ウイルス(ウイルス性肺炎)、その2つの中間的な性質をもつ微生物(非定型肺炎)の3つに分けられます。高齢のADL不良者では肺炎の症状が前面に出て、陰に肺結核や非結核性抗酸菌症が隠れていることもあります。また免疫不全な場合、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス肺炎や肺真菌症などもまれにあります。

原因 特徴
細菌性肺炎
肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌 湿った咳と共に、黄色や緑色を帯びた痰が出る
ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど、さまざまなウイルス 一般的なかぜ症状に続き、激しい咳、高熱、倦怠感などの症状が出てくる
非定型肺炎
マイコプラズマ、クラミジアなど 乾いた咳が長く続くことが多い(痰は少なめ)

非感染性肺炎には、好酸球性肺炎、間質性肺炎、薬剤性肺炎などがあります。特発性器質化肺炎や好酸球性肺炎ではステロイドなどの免疫抑制療法が必要になります。

肺炎の症状

 初期の症状は、咳、痰、発熱など、似ているところも多いのですが、細菌性肺炎と非定型性肺炎では、咳の状態に違いがあります。またウイルス性肺炎の場合は、急に39度以上の発熱があることが多いため、そういった症状のわずかな違いからでも、病原微生物を推測することができます。

肺炎の診断

肺炎の診断は、発熱や咳などの症状を診るほか、画像検査や血液検査によって総合的に行います。

肺炎の患者さんは、X線やCTで胸の画像を撮ると、「浸潤影」「すりガラス様陰影」と呼ばれる白っぽい画像が見られます。血液検査では、白血球やC反応性蛋白(CRP)などの値が上昇しているかどうかを確認します。また、A-DROPという5つの指標(年齢、脱水、呼吸、見当識、血圧)を用いて重症度を判断します。

原因となる病原体を特定するため、尿検査や痰の検査をすることもあります。しかし、特定に時間がかかるときは確定診断を待たずに、症状や経過などから推定される原因に対して抗菌薬を使用することもあります。

肺炎の治療

 

治療原則

治療薬

細菌性肺炎

抗菌薬の内服(もしくは注射)と、咳や熱などのつらい症状を和らげるための対症療法を併行して行います。

ペニシリン系抗菌薬(サワシリン)、セフェム系抗菌薬(フロモックス)などの抗菌薬

ウイルス性肺炎
抗菌薬が効かないため、解熱剤や咳止め薬などの症状を抑える対症療法を中心に行います。 インフルエンザ肺炎には、抗インフルエンザ薬を使用。
非定型肺炎

抗菌薬の内服(もしくは注射)と、咳や熱などのつらい症状を和らげるための対症療法を併行して行います。

マクロライド系抗菌薬(ジスロマック)、ニューキノロン系抗菌薬(クラビット)、テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン)などの抗菌薬

肺炎の予防

1)肺炎球菌ワクチン:

65歳以上になれば肺炎球菌ワクチンを接種するようにしましょう。一回接種すれば5年間有効です。

2)かぜの予防:

手洗いやうがいを励行します。またインフルエンザワクチンを毎年10月に接種しておくことも重要です。

3)禁煙: 

タバコの煙により肺の気管支の細胞が傷つき、細菌やウイルスが入り込みやすくなるため、肺炎のリスクが高くなります。また喫煙により慢性閉塞性肺疾患(COPD)となると肺の働きも弱くなり、肺炎になったときに重症となりやすくなります。禁煙は重要な肺炎の予防策です。 

気管支喘息

気管支喘息は気管支に慢性の炎症により、気管支が発作的に狭くなったり、「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」といったり息が苦しくなる発作がみられます。この発作は自然に改善することもありますが、多くは治療が必要です。重症の発作では死に至ることもあります。また喘息は完全に治すことは難しいと考えられていますが、治療により発作を起こしにくくし、健康な人とほぼ同じ生活を送ることができます。

症状

ゼイゼイする、咳が出る、息が苦しいなどの症状が発作時に出現します。これらの症状は夜間や早朝に多いのが特徴です。発作は安静にしていれば自然におさまることもありますが、どんどん進行し、会話することも困難な状態になることがあります。

悪化の原因

アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)暴露、呼吸器感染症、激しい運動、天候、アルコール、薬、ストレス、月経などがあります。

診断

1. 発作性の呼吸困難、喘鳴、咳の反復
2. 可逆性の気流制限 (無症状期をはさんで、発作が反復)
3. 症状が他の心肺疾患によらない
4. 気道過敏性の亢進
5. アトピー素因 (血清特異的IgE抗体)
6. 気道炎症の存在 
1、2、3が臨床診断上重要である。4、5、6は他の所見とともに喘息診断を支持する。

成人気管支喘息診療のミニマムエッセンスよりhttps://www.med.or.jp/dl-med/chiiki/allergy/bronchial_asthma.pdf

上記のような症状を繰り返し、心臓病など他の疾病が否定された場合に喘息と診断します。診断に一番重要な情報は症状と経過です。いつ症状が始まったのか、どんな咳や痰がでるのか、喘鳴(「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」いうこと)の有無や程度などに注意して下さい。また肺機能検査、血液検査、胸部X線検査、呼気NO検査、喀痰検査が診断に役立ちます。

治療

喘息の治療には大きく分けて、発作による症状を緩和する治療(急性期治療)と、発作を起こしにくくする治療(長期管理治療)の2つがあります。発作の程度や回数からどのような治療を行うか決定します。

発作時の治療

急性期治療とも言います。発作による息苦しさをとることが目標です。短期作用型β2刺激薬(SABA)の吸入、ステロイドの全身投与(点滴もしくは内服)、アミノフィリン点滴などを用います。大発作・重篤な発作時は、上記に加えて酸素投与、エピネフリン投与、必要に応じた気管挿管、人工呼吸療法も併用します。もし、ご自宅や会社・外出先などで喘息発作が出現した際、呼吸が苦しくて横になれないなど症状が改善しない場合は、すぐ受診してください。

治療法・治療薬

適応

酸素吸入

酸素が足りなければ、酸素吸入を行います。

短時間作用型β2刺激薬(吸入)

※ベネトリン、メプチンなど

発作で狭くなった気管支を広げるために行います。効果が速く、発作時には第一選択となる治療です。20~30分間隔で繰り返し吸入する場合があります。

副腎皮質ステロイド薬(点滴、内服)

※点滴:ソル・メドロール注、ソル・コーテフ注

内服:プレドニゾロン

気管支拡張剤で十分な効果が得られない場合に、副腎皮質ステロイドの全身投与(点滴、内服)を行います。内服と点滴で効果に大きな差はありません。効果発現には2~4時間かかります。1週間以内の短期間で使用する場合は副作用に関してほとんど心配する必要はありません。

長期管理(非発作時の治療)

治療ステップに応じて段階的に薬物療法を行っていきます。吸入ステロイド薬が基本となり、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬を内服、長時間作用型β2刺激薬(LABA)、長時間作用型抗コリン薬(LAMA)、抗IL-5抗体薬、抗IL-5Ra抗体薬、気管支熱形成術などの治療を行います。

治療薬

適応

①吸入ステロイド薬(ICS)

※吸入:フルタイド®、パルミコート®、キュバール®

最も効果的な抗炎症薬である。副作用は、口腔・咽頭カンジダ症、嗄声などで全身性の副作用は少ない。妊娠自体に影響しない。吸入後はうがいが必要です。

②長時間作用性β2刺激薬(LABA)

吸入薬:セレベント; 貼付薬:ホクナリン

吸入薬、貼付薬、経口薬があり、必ずICSと併用する(単独使用は禁忌)。ICSにLABAを併用すると相乗効果が得られる。

③吸入ステロイド薬・長時間作用型β2刺激配合薬(ICS・LABA)

アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベア、スピリーバ・レスピマット

気道の炎症を抑え、気管支を拡張することで、喘息による咳や息苦しさなどを改善します。ICSとLABAを個別に吸入するよりも有効性が高い。

④ロイコトリエン受容体拮抗薬

※シングレア(モンテルカスト)やオノン(プランルカスト)

吸入ステロイド薬でコントロール不十分な場合、追加薬として使用します。

⑤テオフィリン徐放製剤

※テオドール、テオロング、ユニフィルLA

昔から使われてきた薬ですが、現在は吸入ステロイド薬でコントロールが不十分な場合、追加薬として用いられています。

⑥生物学的製剤

ゾレア、ヌーカラ、ファセンラ、デュピクセント、テゼスパイア

高用量ICSと複数の気管支拡張薬の併用下でもコントロール不十分で総血清IgE値が30~700 IU/mL、通年性吸入抗原が証明されている場合に投与する。重症喘息や難治性喘息の患者様に使われています。

咳喘息

咳喘息とは

咳喘息は、喘息と異なり喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を伴わず、咳が長引くことを唯一の症状とする疾患です。アレルギー反応などによる気道過敏性の亢進は原因です。

下記のような症状があれば咳喘息の疑いが濃厚になります。

・夜間から早朝にかけて咳がひどくなる
・風邪やコロナにかかった後、咳だけが続いている
・寒暖差が激しい日に症状が悪化する
・市販の風邪薬や咳止め薬を服用しても効かない
・季節、天気、ストレスなどによって症状の変化がある

咳喘息の診断

1. 喘鳴を伴わない咳が8週間以上続く
(聴診器で聞いても呼吸にゼイゼイ、ヒューヒューという音が入らない)
2. 喘鳴、呼吸困難などを伴う喘息に今までにかかったことがない
3. 8週間以内に上気道炎(かぜ)にかかっていない
4. 気道が過敏になっている
5. 気管支拡張薬が有効な場合
6. 咳を引き起こすアレルギー物質などに反応して、咳が出る
7. 胸部レントゲンで異常が見つからない
上記1・5の二つを満たすことで、咳喘息と簡易的に診断することもあります。

治療

咳喘息の症状は、市販の風邪薬や咳止め薬を使っても改善しません。治療には、病院を受診して適切な薬を処方してもらい、服用する必要があります。

治療薬(代表的な薬剤) 効能・効果 使用
吸入ステロイド薬

フルタイドやオルベスコ

治療の中心、気道の炎症を抑える薬 症状が落ち着いてきたら、経過を見ながら数ヶ月かけて、少しずつ吸入量を減らしていきます。
気管支拡張薬

メプチン、テオフィリン、ホクナリン

炎症を起こして狭くなった気道を、一時的に広げる薬 吸入ステロイド薬と併せて用います。
抗アレルギー薬

オノン、シングレア、キプレス

気道の炎症を抑える薬。 アレルギーにより症状が引き起こされている場合に使います。

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDとは

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入暴露することなどにより生ずる肺疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に関与し起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが、これらの症状に乏しいこともある。

COPDを疑うポイント

①喫煙歴あり(特に40歳以上)
②咳(特に湿性)、痰、喘鳴
③労作時(階段や坂道の登り、など)の息切れ
④風邪(上気道)症状時の②.また③.(風邪で顕在化することあり)
⑤風邪(上気道)症状を繰り返す、または回復に時間がかかる
⑥下記疾患(COPDに多いへ併存症)患者:心血管系疾患、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、など

COPDの診断

  1. 長期の喫煙歴などの暴露因子があること
  2. 気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーでFEV1/FVC が70%未満であること
  3. 他の気流閉塞を来しうる疾患を除外すること

COPDの病期分類

病期 定義
Ⅰ期
軽度の気流閉塞 %FEV1≥80%
Ⅱ期
中等度の気流閉塞 50%≤%FEV1<80%
Ⅲ期
高度の気流閉塞 30%≤%FEV1<50%
Ⅳ期
きわめて高度の気流閉塞 %FEV1<30%

気管支拡張薬投与後のFEV1/FVC 70%未満が必須条件

COPDの治療・管理

COPDの管理には,慢性安定期の治療および増悪時の治療があります。

慢性安定期の治療

以下の手段により増悪を予防し,肺および身体の機能を改善することを目標とする。

  • ・禁煙
  • ・薬物療法
  • ・酸素投与
  • ・予防接種
  • ・栄養の改善
  • ・呼吸リハビリテーション(運動を含む)
  • ・COPDの外科的治療は選択された患者にのみ適応となる。その選択肢には,肺容量減少術や肺移植が含まれる場合がある。

急性増悪の治療

・酸素投与
・気管支拡張薬
・コルチコステロイド
・抗菌薬
・非侵襲的換気または挿管と換気による換気補助

参考資料

COPD診療のエッセンス2014  https://www.med.or.jp/dl-med/nosmoke/copd_essence2014_page.pdf

COPD 診断と治療のためのガイドライン[第6版]2022 https://www.jrs.or.jp/publication/file/COPD6_20220726.pdf

COPD増悪予防と管理の実践   https://www.jrs.or.jp/comore-by2032/file/STEP2_COPD_yobou.pdf

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022〔第6版〕  https://www.jrs.or.jp/publication/file/COPD6_20220726.pdf

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第3版(日本呼吸器学会)によるCOPDの管理目標と管理指針 COPDの管理目標と管理指針

広く一般の人を対象として、COPDの可能性があるかどうかを調べられる質問票   COPD集団スクリーニング質問票(COPD-PS)

当てはまる項目にチェックするとCOPDの疑いを判定する質問票 問診票(IPAG)