胃カメラで発見できる胃炎
胃カメラで発見できる胃炎には、表層性胃炎・びらん性胃炎・萎縮性胃炎・鳥肌性胃炎などがあります。
表層性胃炎はピロリ菌が陰性の方にもみられる胃炎で、胃酸の過多のほか、ストレスや暴飲暴食などの要因により引き起こされるとされています。
びらん性胃炎は胃の粘膜上皮が炎症し脱落を起こす胃炎で、無症状の場合が多いですが、急性の場合は胃の諸症状が現れ、胃潰瘍に発展するリスクがあります。
萎縮性胃炎は、慢性的な炎症が続くことで胃の粘膜が萎縮し、薄くなることで胃がんの発生リスクが上昇します。
鳥肌性胃炎は、ピロリ菌感染やスキルス胃がんとの関わりが指摘されている炎症で、がんに派生するリスクが高いため、定期的な胃カメラが重要です。
鳥肌胃炎とは
胃カメラでは、胃粘膜の小さな隆起性病変が無数にみられ、「鳥肌」のようにみえることから「鳥肌胃炎」と名付けられています。病理学的には、ピロリ菌感染により引き起こされる過剰な免疫反応で、リンパ濾胞が増生することでこの状態が生じます。特に若い女性に多く見られます。
鳥肌胃炎は胃がんになりやすい
現在、胃がん特に低分化型腺癌との関連が示唆されている。鳥肌胃炎は、若年者のヘリコバクター・ピロリ感染および未分化型腺癌と関連性が報告されている。
H.pylori陰性の鳥肌胃炎でない受診者からは 3939例中 3例(0.08%)しか胃癌は見つからなかったが、鳥肌胃炎 150例中 7名(4.7%)に胃癌が見つかったのです。すなわち、鳥肌胃炎は非鳥肌胃炎と比べて、約60倍胃がんになりやすいということです。
また、ピロリ菌感染が発症の大きな原因であることは明らかになっていますが、同じピロリ菌感染者でも20歳以下は「鳥肌胃炎」が多く、20歳以上では「萎縮性胃炎」の方が増えます。
鳥肌胃炎 | 萎縮性胃炎 | |
3-19歳 | 58% | 2% |
19-29歳 | 27% | 37% |
鳥肌胃炎の治療
鳥肌胃炎は上に述べたように、ピロリ菌(H.pylori)感染が原因と言われています。ですので、治療は、速やかにピロリ菌の除菌が効果的です。
10-20歳の鳥肌胃炎に対して除菌により多くは6ヶ月で鳥肌状の粘膜は消えたと報告されています。また除菌により、腹痛などの消化器症状は83例中81例で消失したと報告されています。