
禁煙外来
禁煙外来
タバコの煙には発がん性物質が70種類も確認されています。特にニコチン・タール・一酸化炭素はタバコの3大有害物質といわれています。
ニコチンは、強い血管収縮作用があるので血圧や心拍を上昇させ、心臓に負担をかける原因になります。
タールは、肺や呼吸器にたまり続けます。肺がんや呼吸器疾患を引き起こす原因になります。
一酸化炭素は、酸素が血液へ運ばれる働きを阻害し、酸素不足を引き起こします。そのため血管の動脈硬化の原因になり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中、生活習慣病のリスクを高めます。
また、タバコの煙には体内に活性酸素を作り出す物質がたくさん含まれています。ビタミンCが阻害され、顔にシミやシワができやすくなり、女性にとっては美容面においても影響があります。
1. 心血管疾患のリスク低下
2. 呼吸機能の改善とCOPDの進行抑制
3. 口腔、喉頭、食道、膀胱などの癌リスク低減
4. 糖尿病のリスク低減と血糖コントロールの改善
5. 生殖機能と妊娠への好影響
6. 免疫機能の正常化と感染症リスクの低減
7. 皮膚・老化の進行抑制
8. 骨密度の保護と骨折リスクの低減
9. 歯周病・口腔疾患の改善
10. 寿命の延長と生活の質の向上
喫煙が健康に及ぼす影響は甚大ですが、禁煙の効果は想像以上に早いです。禁煙を始めたその時から効果が体に現れます。
【20分後】心拍数が正常に戻り、血圧が下がります。
【8時間後】脳に悪影響をおよぼす血中の一酸化炭素が正常値にもどります。
【1日後】体内からニコチンが排出され、血流が改善されます。心臓発作の確率が低減します。
【2日後】嗅覚と味覚が回復しはじめます。
【3日後】ニコチンが体から抜け、肺活量が増加し、気管支の収縮が取れて、呼吸が楽になります。
【4週後】良眠や美肌効果が得られ、離脱症状が軽減されます。
【1ヶ月後】呼吸器の症状が改善し、心臓病のリスクも低下します。
【2~9ヶ月後】咳、全身倦怠、呼吸機能が改善します。
【5年後】肺がんで死亡する確率が喫煙者の半分に減ります。
【10年後】肺がんで死亡する確率が喫煙者の10分の1になり、他のがん発症リスクも更に減少します。
このようにたくさんのメリットがあるため、さっそく禁煙を始めましょう。喫煙中のあなたは迷わず、「禁煙を始める!」と決めたら、一気に実行するのが一番「楽」です!
禁煙治療に健康保険が適用されるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
1,ニコチン依存症のスクリーニングTDSテスト: 得点5点以上で、ニコチン依存症と診断されること。
2,喫煙本数と年数: 35歳以上の場合、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上であること。
3,禁煙の希望: 直ちに禁煙することを希望していること。
4,治療に対する同意: 禁煙治療についての説明を受け、治療を受けることに文書で同意していること。
TDSでは、喫煙行動に関する10個の質問に「はい」か「いいえ」で回答してもらい、その合計点でニコチン依存症に該当するかどうかを判断します。1つの設問につき、「はい」の場合は1点、「いいえ」の場合は0点とスコア化し、5点以上でニコチン依存症と診断されます。
問1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
問2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
問3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか?
問4. 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか? (イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5. 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
問6. 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
問7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問8. タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
問10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?
保険で認められている通院回数は、初診を含めて計5回(初回診療・2週間後・4週間後・8週間後・12週間後)、期間は約3か月です。
・禁煙治療や喫煙状況に関する問診票の記入
・呼気中(吐き出す息)の一酸化炭素濃度の測定
・医師の診察:保険適応の確認、禁煙指導
・禁煙開始日の決定と禁煙宣言書にサイン
・禁煙補助薬の処方(2週間)
・一酸化炭素濃度の測定
・医師の診察:喫煙(禁煙)状況の確認、副作用や離脱症状の確認や対処法の提案
・禁煙補助薬の追加処方(2週間)
4週目、8週目の再診でも、呼気中の一酸化炭素の測定とともに、出現した離脱症状の確認や対処法などのカウンセリングや治療を行う。追加処方(4週間)。
12週目の再診が最終回、治療終了です。禁煙に成功していれば、そのまま禁煙を継続するためのコツと工夫を提案します。
※治療期間中に大切なのは途中で通院をやめてしまわないことで、途中で通院しなくなれば再喫煙の可能性も高くなってしまいます。
※原則1年間、健康保険を使用して禁煙外来を受診することはできません。一方、12週間のプログラム終了後であっても、自由診療でなら禁煙補助薬を継続することが可能です。
※前回の禁煙外来初診日より1年以上経過すれば健康保険を使用して禁煙外来を受診可能です。
・適応症:医師により禁煙が必要と診断された禁煙意志の強い喫煙者が、医師の指導の下に行う禁煙の補助
・「ニコチン」を含む
・禁煙開始日使用初日から禁煙開始
・主な副作用:不眠(5.9%)
・剤型の種類:TTS(10、20、30)
ニコチネル |
ニコチン含有量 |
喫煙量相当 |
TTS30 | 52.5 mg | 30本~/日 |
TTS20 | 35 mg | 11~29本/日 |
TTS10 | 17.5 mg | 5~9本/日 |
※1日1回1枚、24時間貼付
※健康成人喫煙者にニコチネルTTS10、20、30を単回24時間貼付したとき、血漿中ニコチン濃度は貼付7〜24時間後に最高濃度に達し、用量依存的であった。ニコチネルTTS30の血漿中ニコチン濃度推移は、1時間ごとに1本タバコを喫煙したときの各喫煙直前濃度推移と同様であった。本剤除去後の血漿中ニコチン濃度の消失半減期は6〜7時間であった。
① 貼るだけで使い方が簡単
②1日中効果が継続
③食欲を抑制する作用があり、禁煙後の体重増加の軽減が期待できる。
④健康保険が適応される
⑤人に気づかれにくい
割 | 1割負担 | 3割負担 | 自費 |
金額 | 約5,000円 | 約15,000円 | 約5,0000円 |
・ 金額には、禁煙外来の診察代・処方箋代・処方薬代が含まれます。
・ 12週間(計5回)の診療費用の合計(目安)です。
・禁煙の理由を考える
・スタート日を決める。
記念日や1のつく日など覚えやすい日がよいでしょう。休日に喫煙本数が多い方は仕事のある日から、逆に職場で多く吸ってしまう方は休日から始めるとよいでしょう。禁煙開始日を決めたら、カレンダーに○をつけたり禁煙宣言書を作り見やすい場所に貼ったりすると禁煙開始への意欲が高まります。
・思い切って断煙
1. 禁煙開始日を設定しよう!
まずは禁煙を開始する日を決めます。例えば何かの
また自分がなぜ禁煙したいのか理由を明確化し書き出すことで、禁煙開始後に辛くなったときでも、初心に戻って禁煙について考え直すことができます。是非禁煙理由も宣言書に一緒に記載するようにしましょう。
禁煙開始後2~3日をピークに禁煙の離脱症状(禁断症状)が現れます。その後個人差はありますが、症状は緩やかに10~14日ごろまで続きます。この離脱症状(禁断症状)には、いくつか種類があります。
禁煙開始後数日間は「たばこが吸いたい!」という気持ちが1日数回出現することもあります。そんなときにどんな対処をしたらたばこを吸わないでいられるかを事前に考えておくことで、吸いたい気持ちのコントロールをすることが可能となります。
たばこを吸いたい気持ちは1日中ずっと続くわけではありません。長く続いても3分~5分です。たばこを吸いたくなる場面を手帳に書き出し、そのときにたばこを吸うこと以外で可能な3~5分の行動や、たばこの代わりになるものを事前に考えておくなどすることで、急な喫煙欲求にも対処が可能となります。
禁煙開始前7日間は、吸いたい気持ちがでてきたら、ご自分で書き出した対処法を実施し効果を確かめます。効果がなければ他の方法を考えて実施してみましょう。下記に一例を挙げてみました。
たばこを吸いたくなる場面 | 代わりになる行動 |
---|---|
朝起きてすぐ | すぐに顔を洗う |
食事の後 | 歯磨き |
コーヒーと一緒に | コーヒーを紅茶に代える |
出勤中の車の中 | 大声で歌う |
仕事の休憩時間 | 職場の人に禁煙宣言をする |
帰宅時の車の中 | 深呼吸 |
アルコールとともに | 冷水を一緒に置いておき、吸いたくなったら飲む |
「無意識のうちにたばこを吸ってしまう」「いつの間にかまた火をつけていた」というようなことは喫煙者の方であればよく経験することでしょう。無意識にたばこを吸ってしまうと、禁煙開始後もついついということになりがちです。
禁煙前に一度、意識的にたばこを吸う練習をしましょう。いつもと違う銘柄のたばこを吸ったり、たばこを持つ手を替えてみたりして「たばこを吸っている」という意識を持って吸ってみましょう。可能であれば短時間でも禁煙できる時間を作り、できたら自分を褒めるという禁煙の練習をしてみるのもよいでしょう。
① 期日を決めて一気に禁煙を実行しましょう
② 必ず5回、外来を受診しましょう
③ 吸いやすい「行動」を把握しましょう
④ 喫煙のきっかけとなる「環境」を改善しましょう
⑤ 吸いたくなったら代わりの行動をとりましょう
吸いやすい「行動」を把握しましょう
対処法:吸いたい気持ちをコントロールしましょう
【方法A】禁煙と結びついている今までの生活行動パターンを変え、吸いたい気持ちを起こりにくくする方法
【方法B】禁煙のきっかけとなる環境を改善し、吸いたい気持ちを起こりにくくする方法
【方法C】喫煙の代わりに他の行動を実行し、吸いたい気持ちをコントロールする方法