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起立性調節障害は、自律神経が弱いためにおこる自律神経失調症のひとつです。
有病率
軽症例を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%に自覚症状が存在するといわれています。重症は約1%程度で、不登校の約3-4割に併存するといわれています。
病因
背景には、遺伝的な要因のほかに、起立に伴う循環動態の変動に対する自律神経による代償機構の破綻、水分・塩分摂取不足、心理社会的ストレス(学校や家庭)、不規則な生活習慣、日常の活動量低下などが考えられています。
症状
1) 朝起きられない、気分が悪い、立ちくらみ、長い間立っていたり立ち上がったりするときにふらついたり気を失ったりする、頭が痛い。
2) 症状は立っている時や座っている時に出ることが多く、横になると改善する。
3) 症状は午前中に強く、午後からは軽減することが多い。夜になると元気になり、スマホやテレビを楽しむことができるようになる。そうすると夜に目がさえて寝つけず、起床時間が遅くなり、悪化すると昼夜逆転のような生活になってしまう。
セルフチェック
診断
1) 立ちくらみ、失神、気分不良、朝起きられない、頭痛、腹痛、動悸、午前中に調子が悪く午後に回復する、食欲不振、車酔い、顔色が悪いなどの症状が3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑います。
2) 客観的検査としては、新起立試験といって10分間寝かせた後に起立し、血圧や心拍数の変化を評価する試験もあります。
3) その他の病気(貧血、甲状腺機能異常、不整脈、心疾患やてんかんなど)は否定的。
分型
起立性調節障害には、下記4つのサブタイプがあります。
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❶起立直後性低血圧
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起立直後に血圧が大幅に低下し、立ちくらみ、だるさ、頻脈(脈が1分間に100回以上になること)等の症状が出現します。血管を収縮させるノルアドレナリンの分泌が低下しているため、血圧の回復までに時間がかかります。
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❷体位性頻脈症候群
- 起立時の血圧低下はないものの、心拍数が異常に増加します。立ちくらみはそこまでではないものの、頭痛やだるさが強いといわれています。立った時に、過剰に交感神経が興奮してしまったり、アドレナリンが分泌されすぎたりすることで生じると考えられています。
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❸血管迷走神経性失神
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起立中に急激な血圧低下が起こり、失神を起こすタイプです。顔面蒼白や冷や汗などの症状が見られます。立った時に過剰に頻脈になり、心臓の空打ち状態が起こることで引き起こされるとされ、起立直後性低血圧や体位性頻脈症候群に伴ってみられることもあります。
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❹遷延性起立性低血圧
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起立直後には血圧低下しませんが、起立状態が続くと数分以上をかけて徐々に血圧低下が進み、失神することがあるタイプです。
血管の中でも、静脈がうまく収縮しないことで起こるとされています。
- 近年、➎脳血流低下型、❻高反応型など新しいサブタイプが報告されているが、診断のためには特殊な装置を必要とする。
治療
❶疾病教育
症状は特に朝に強く、起床困難で遅刻や欠席をくり返すため、周囲から、「怠け癖」だと思われているケースが多くみられます。患者さん本人、ご家族、学校などに、「ODは身体疾患である、「根性」や気持ちの持ちようだけでは治らない」と理解していただくことが重要です。
❷非薬物療法
・坐位や臥位から起立するときには、頭位を下げてゆっくり起立する。
・静止状態の起立保持を避け、短時間での起立でも足をクロスする。
・水分摂取は1日1.5-2リットル、塩分を多めにとる。
・毎日30分程度の歩行を行い、下半身の筋力低下を防ぐ。
・眠くなくても就床が遅くならないように就寝前のスマホやタブレットなどを制限する。
・軽めの運動を普段から心がける。
・弾性ストッキングを着用する。
❸学校との連携、環境調整
学校関係者にODの理解を深めてもらい、OD児の受け入れ態勢を整えて、子どもの心理的ストレスを軽減することが最も重要です。ご家族の方や学校関係者がODの発症機序を十分に理解し、医療機関―学校との連携を深めて体制を整えることが大切です。
❹薬物療法
非薬物療法を行ったうえで、薬物療法(ミドドリン、プロプラノロール、デエビゴ、ロゼレム、補中補中益気湯、ブスコバン、カロナールなど)を行いますが、これだけでは即効性はありません。
➎心理療法
心理的・社会的ストレス(学校や家庭)が症状を悪化する可能性もあります。保護者、学校関係者と協力してストレスの軽減に努めることも大切。
今後の見通
1) 思春期に自律神経の働きが弱いことが原因であり、加齢に伴い自律神経が成長し安定すると必ず良くなる。思春期の間、症状を緩和し日常生活に不都合が出ないように、上記のような治療を行う。
2) 「なまけ癖がある」ではない。「身体疾患であり、根性や気持ちの持ちようだけでは治らない」ということを理解してもらうことが必要です。
参考サイト
❶日本小児心身医学会 起立性調節障害
❷岡山県教育員会 対応ガイドライン
❸日本大学医学部附属板橋病院 起立性調節障害




