
脂肪肝とは
肝細胞に中性脂肪が異常に蓄積した状態は脂肪肝と言います。病理検査では5%以上の肝細胞に脂肪滴を占めす場合、脂肪肝と診断します。一方CTや超音波検査などの画像検査では、20%以上の肝細胞に脂肪沈着が生じて初めて脂肪肝と診断できます。
原因
・アルコールの過剰摂取
・肥満・過食・運動不足
・糖尿病・脂質異常症
・薬剤:ステロイド剤など
・遺伝的要因
・その他:急激なダイエットによる低栄養性脂肪肝、ホルモン異常、睡眠時無呼吸症候群など
分類
脂肪肝には大きく分けて2つの種類があります。1日ビール(中瓶)2本以上、日本酒で2合以上飲むとなるアルコール性脂肪肝とアルコールをあまり飲まない(ビール400ml 未満、日本酒で1合未満)でなる非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)です。NAFLDはさらに2つに分かれ、たんに中性脂肪がためっているだけで、肝機能障害が軽度の単純性脂肪肝と炎症を起こし、肝臓に強い障害を起こす非アルコール性脂肪肝炎(NASH)があります。すなわち、NAFLD=単純性脂肪肝+NASH。NASH を放置すると肝硬変、肝がんへと進行することが知られています。
検査
基本は血液検査です。AST、ALT値の上昇により発見されます。また、アルコール性の場合はγGT値の上昇が多くの場合に見られます。画像診断では腹部超音波やCTが一般的に行われ、脂肪肝になると超音波では白っぽく変化して描出されます。CTでは逆に黒っぽく変化して写ります。
治療
肪肝の治療は、食事療法と運動療法です。
・アルコール性の場合は節酒です。飲酒量は1日1合以内とし、週に2日以上は休肝日にします。
・食事療法としては、脂質と糖質を減らして低カロリーを心がけ、魚や野菜中心とする。間食を控え、規則正しい時間に食事をとる。
・運動療法としては、有酸素運動と、週3回ほどの筋肉トレーニングを取り入れる。
参考資料
FIB-4 indexによるリスク判定
FIB-4 indexはNAFLDの肝臓の線維化(肝硬度)だけでなく、予後や合併症を予測するのに有用なマーカーであり、ALT(U/L)、AST(U/L)、年齢(歳)、血小板(10⁹/L)という日常臨床で使う検査項目から計算できるため簡便に用いることができます。
FIB-4 indexで層別化した各リスク群の新規肝関連疾患の年率危険度は下の表を確認してください。
|
種類 |
FIB-4 |
新規発症の肝関連疾患は年率 |
|
|---|---|---|---|
| 低危険度群 |
<1.30 |
1倍 |
|
| 中間危険度群 | 1.30≤FIB-4<2.67 | 4.34倍 | |
| 高危険度群 |
≥2.67 |
32.6倍 |
|
アルコールの種類とアルコール量の目安
| アルコール性肝障害 | 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD) | ||
|---|---|---|---|
|
摂取純アルコール量 ※1 |
60g/日以上 |
男性30g/日未満、女性20g/日未満 ※2 |
|
※ 1 純アルコール30gとは大体ビール大瓶1本、日本酒1合、焼酎1/2合
※ 2ウイルス性肝炎や薬物性肝障害、自己免疫性肝疾患や甲状腺機能異常など肝機能異常や脂肪肝を引き起こしうる病態は除外される。
|
種類 |
糖質 |
アルコール量 |
エネルギー量 |
|
|---|---|---|---|---|
| ビール350mL | 10.8g | 17.5g | 145Kcal | |
| ビール(発泡酒)350mL | 11.4g | 17.5g | 159Kcal | |
| 日本酒180mL(1合) | 7.5g | 27g | 186Kcal | |
| 焼酎(25度)100mL | 0g | 25g | 142Kcal | |
| ウイスキー 60mL(ダブル) |
0g | 20g | 142Kcal | |
|
赤ワイン200mL |
3g |
24g |
146Kcal | |
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