
目次
不眠における漢方治療の意義
・強制的に眠らせるのではなく、心身のアンバランスを是正して自然な眠りをもたらす。
・不眠も全身症状の 1 つとして捉えて複合的に治療する
・入眠障害と中途覚醒(熟眠障害)に分けて考える
・治療が難しい場合は一時的に西洋薬を併用し、その後に西洋薬の減量を目指す
・漢方薬による不眠治療は,
・内服方法は,就寝前(もしくは夕食後)の投与,効果が不十分な場合は毎食前に投与する。
・睡眠薬と漢方薬を併用する場合,睡眠薬の漸減・中止や睡眠薬で改善できていない症状(中途覚
醒,悪夢をみる,眠りが浅いなど)が治療目標になる。
西洋医学の入眠障害分類法による漢方の選択
西洋医学では、不眠は入眠障害、 中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒に分けて考える
入眠障害の漢方
1)黄連・黄芩を含む処方
- 黄連解毒湯[15] :心窩部抵抗/のぼせ/顔面紅潮/興奮しやすい
- 半夏瀉心湯[14] :心窩部つかえ感/食欲不振/腹鳴/下痢
- 女神散[67] :更年期女性/のぼせ/不眠
2)その他
- 抑肝散[54] :眠れないことにこだわっているもの/焦燥感の強いもの/歯ぎしり/易怒性/易興奮性
- 竹筎温胆湯[91] :咳が多くて眠れないもの
中途覚醒、熟眠障害、早朝覚醒
1)柴胡(胸脇苦満)や竜骨牡蛎(神経過敏)を含む処方
- 柴胡加竜骨牡蛎湯[12] :交感神経過敏(驚きやすさ/動悸)/抑うつ気分/頭重感/便秘
- 桂枝加竜骨牡蛎湯[26] :のぼせ/虚弱体質/交感神経過敏
- 大柴胡湯[8] :がっしりした体格/季肋部つまり感/不安焦燥感/抑うつ気分/便秘
- 柴胡桂枝乾姜湯[11] :痩せて体力が衰えた人/交感神経過敏/口乾/息切れ/寝汗
- 加味逍遥散[24] :更年期女性/発作性灼熱感・動悸・発汗
- 加味帰脾湯[137] :易疲労/胃腸虚弱/抑うつ気分/悲哀感/高齢者の抑うつ状態
2)厚朴・蘇葉を含む処方
- 半夏厚朴湯[16] :抑うつ気分/咽喉頭異物感/息苦しさ
- 香蘇散[70] :抑うつ気分/陰うつな感じを与えるもの/半夏厚朴湯で脱力感を生じるもの
3)その他の処方
酸棗仁湯[103] 疲れすぎてぐっすり眠れないもの/不眠というより睡眠の質が悪いもの
中医学の入眠障害分類法による漢方の選択
中医学では、不眠は三つのカテゴリー(気が昂ぶって不眠,ドキドキして不眠,疲労困憊で不眠)に分けて考
える。
「気が昂ぶって不眠」に用いる漢方薬
共通:イライラ・怒りっぽい
- 抑肝散 :焦燥感,交感神経の過緊張
- 抑肝散加陳皮半夏 :抑肝散+胃腸症状、怒りがやや弱い
- 加味逍遥散 :ホットフラッシュ,更年期障害,月経前症候群,消退する症状,多くの不定愁訴
- 黄連解毒湯 顔面紅潮・イライラが強い
「ドキドキして不眠」に用いる漢方薬
共通:悪夢・動悸・驚きやすい
- 柴胡加竜骨牡蛎湯:過緊張,抑うつ
- 柴胡桂枝乾姜湯 :ストレスを溜め込んで疲弊
- 桂枝加竜骨牡蛎湯 :ドキドキ・ビクビクが強い,落ち着かない,神経過敏
「疲労困憊で不眠」に用いる漢方薬
共通:疲労困憊・やる気がない・倦怠感・疲れやすい・日中の眠気
- 補中益気湯 四肢がだるい・眼に力がない・声が弱々しい
- 酸棗仁湯:疲れ過ぎてかえって眠れない
- 加味帰脾湯:思い悩む,憂うつ,悲哀感




