高血圧・狭心症・心不全・下肢静脈瘤・下肢浮腫|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

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循環器疾患

高血圧・狭心症・心不全・下肢静脈瘤・下肢浮腫|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

循環器疾患について

人間の体内には血液が循環しています。血液を全身に循環させるポンプの働きをするのが心臓です。運搬経路になるのが血管です。これら心臓・血管の病気をまとめて循環器疾患といいます。心疾患には、下記のように様々な疾患が含まれています。

高血圧:動脈内の圧力が恒常的に高くなっている状態です。

心不全:心臓の機能が弱まり、十分なポンプとしての役割を果たせなくなる状態です。あらゆる心臓病は心不全の原因となり得ます。症状が安定しているかどうかによって、心不全は大きく二つに分類されます。それなりに体全体のバランスがとれ、状態が安定している場合を「慢性心不全」、安定した状態から急激に悪化する場合を「急性心不全といいます。

虚血性心疾患:心臓の筋肉(心筋)を栄養する冠(状)動脈という血管の狭窄や閉塞によって引き起こされる病気。心筋が一時的に血液不足になって胸に痛みを引き起こしたり(狭心症)、完全に血管が詰まってしまい、胸に激烈な痛みを生じたり心筋梗塞)といった症状があります。

不整脈:脈が遅すぎる(頻脈)、脈が速すぎる(徐脈)、脈が飛ぶまたは乱れる期外収縮)など

弁膜症:心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋があります。血液を一方向に効率よく循環させるため、左右の心室の入り口と出口には逆流を防止するための“弁”が存在し、それぞれ僧帽弁、大動脈弁、三尖弁、肺動脈弁と呼ばれます。弁膜症には大きく2つのタイプがあります。弁の開きが悪くなる状態が「狭窄症」、弁の閉じが不完全となって血液が逆流してしまう状態が「逆流症(閉鎖不全症)」です。

心筋症:心臓の筋肉(心筋)そのものに問題がある病気のことを心筋症と呼びます。心筋症の中には、拡張型心筋症や肥大型心筋症、虚血性心筋症や心サルコイドーシス、心アミロイドーシス、心Fabry病などがあります。

動脈疾患:大きな血管は「破れる」「裂ける」病気や小さな血管は「狭くなる」「詰まる」病気が含まれています。動脈が徐々に拡大し、破裂する可能性があるのが大動脈瘤です。血管壁の中に血液が入っていき、壁が裂けていくのが大動脈解離です。

  また喫煙や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子を持っている方は動脈が硬くなって弾力性が失われた状態(動脈硬化)になりやすいです。血管壁にプラークがついて血管内が狭くなったことにより、血栓が生じたりして血管が詰まりやすくなります。脳には「脳梗塞」、心臓には「狭心症」や「心筋梗塞」、腎臓には「腎硬化症」、足には「閉塞性動脈硬化症」を引き起こします。

静脈疾患:静脈疾患には下肢の皮下の静脈が太くなったり曲がったりする病気(静脈瘤)、浅い部位におこる血栓(血栓性静脈炎)、深い部位に起こる血栓(深部静脈血栓症・エコノミークラス症候群)、血栓が血流にのって肺動脈に詰まってしまう肺塞栓症があります。

リンパ系疾患:リンパ疾患にはリンパ系の閉塞によりリンパ液の貯留を起こす病気(リンパ浮腫感染によりリンパ節が炎症を起こす病気リンパ節炎ひっかき傷や創傷から、最近がリンパ管に沿って皮膚やそのすぐ下の組織に生じるリンパ管炎があります。

循環器疾患の主な症状について

このような症状がある方はご相談ください。

動悸

・むくみ

・息苦しい

・胸が痛い

・背部痛

冷や汗

・体がだるい

・めまい

高血圧

高血圧

高血圧とは

血圧が慢性的に高い状態が続く状態です。診察室では少なくとも2回以上の異なる機会で、収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。また自宅で測る家庭血圧の場合は、下表のように診察室よりも低い基準が用いられます。

分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

原因による高血圧の分類

高血圧には、原因のはっきりしない本態性高血圧、他の疾患や薬剤の副作用が原因で起こる二次性高血圧があります。若年で発症する高血圧、急速に発症した高血圧、治療抵抗性の高血圧、臓器障害が強い場合、夜間高血圧、低カリウム血症などの電解質異常を伴う高血圧などに二次性高血圧を疑います。

本態性高血圧 二次性高血圧
頻度 約9割 10〜15%
年齢 高齢者が多い 若年者に多い
原因 加齢、体質などの遺伝的な要因や、塩分の過剰摂取、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙といった生活習慣など 血圧を上昇させるホルモンの異常や心臓・腎臓・血管の病気、薬剤の副作用など
治療 生活習慣の改善と降圧薬 原因治療

 

主な二次性高血圧とその基礎疾患
原因 疾患
腎実質性高血圧 糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎
腎血管性高血圧 腎動脈狭窄(線維筋性異形成、高安病、腎動脈硬化)
原発性アルドステロン症 副腎皮質腺腫、副腎皮質過形成 
クッシング症候群  副腎皮質腫瘍(腺腫、癌腫、過形成)、下垂体腺腫など
褐色細胞腫 副腎像質や交感・副交感神経節由来の腫瘍(カテコールアミン過剰産生)
甲状腺機能亢進症 甲状腺疾患
甲状腺機能低下症  甲状腺疾患
副甲状腺機能亢進症  副甲状腺疾患

 

合併症

高血圧の合併症にはこのようなものがあります

血圧が高くなると、動脈と呼ばれる、酸素を多く含んだ血液が通る血管に負担がかかります。その結果、次のような合併症が引き起こされやすくなります。

●高血圧性心肥大

●心不全

●脳出血・脳梗塞などの脳血管障害

●心筋梗塞・狭心症

●眼底網膜病変

●高血圧性腎障害・腎不全

●閉塞性動脈硬化症

治療

高血圧の治療には、生活習慣の改善と血圧を下げる飲み薬(降圧剤)による治療があります。高血圧は薬を飲んでいれば必ず良くなるというものではなく、可能な範囲で生活習慣の改善も一緒に行っていくことが大切です。

生活習慣の改善

高血圧症の改善対策は、生活習慣の見直しに尽きます。以下に、10の対策を示します。

①塩分は控えめに

②野菜や果物を豊富に接種

③コレステロールや飽和脂肪酸を摂り過ぎないように

④お酒を飲み過ぎないように

⑤タバコはやめるように

⑥適度な運動をするように

⑦肥満を解消するように

⑧ストレスを溜めず、充分な睡眠をとるように

⑨急激な温度差に気をつける

⑩便秘にならないように

血圧を下げる飲み薬(降圧剤)

 

代表薬剤

作   用

Ca拮抗薬

ノルバスク、アムロジン、ニフェジピン、ヘルベッサーなど

カルシウムイオンが血管に入ることを抑え、血圧を低下させる

ARB

ミカルディス、ディオバン、ブロプレス、ニューロタン、オルメテックなど

アンジオテンシンIIがその受容体に結合することで血管を収縮させ血圧を上昇させる。このアンジオテンシンIIの受容体への結合を妨げ血管を広げることで血圧を低下させる

ACE阻害剤

セタプリル、ゼストリル、タナトリル、コバシル​​など

血管を収縮させたり、腎臓でのナトリウムや水分の排出を押さえて血液量を増やすアンジオテンシンIの産生を抑え、血管を広げて血圧を低下させる

利尿薬

ナトリックス、アルダクトン、フルイトラン、ラシックス​​など

腎臓で、塩分と水分を外に出すことで血圧を低下させる

β遮断薬

テノーミン、メインテート、ロプレソール、インデラルなど

心臓に作用して心臓から出る血液の量を抑えて血圧を低下させる

MR拮抗薬

スピロノラクトン、セララ、ケレンディア、ミネブロ

腎臓の遠位尿細管および接合集合管のミネラルコルチコイド受容体(MR)に対する作用により血圧を下げる。

ARNI

エンレスト

降圧作用や過度な水分貯留の改善作用などがあり、心臓保護作用も期待できる

α1遮断薬

カルデナリン 血圧を上げる神経の働きを抑えて、血管を広げ、血圧を下げる

高血圧薬配合剤

Ca拮抗薬+ARB配合錠
製品名 成分A 成分B
ユニシアLD、カムシアLD カンデサルタン(ブロプレス)8mg アムロジピン2.5mg
ユニシアHD、カムシアHD カンデサルタン(ブロプレス)8mg アムロジピン5mg
エクスフォージ、アムバロ バルサルタン(ディオバン)80mg アムロジピン5mg
ミカムロAP、テラムロAP テルミサルタン(ミカルディス)40mg アムロジピン5mg
ミカムロBP、テラムロBP テルミサルタン(ミカルディス)80mg アムロジピン5mg
レザルタスLD オルメサルタン(オルメテック)10mg アゼルニジピン8mg
レザルタスHD オルメサルタン(オルメテック)20mg アゼルニジピン16mg
アイミクスLD、イルアミクスLD イルベサルタン(アバプロ)100mg アムロジピン5mg
アイミクスHD、イルアミクスHD イルベサルタン(アバプロ)100mg アムロジピン10mg
ザクラスLD アジルサルタン(アジルバ)20mg アムロジピン2.5mg
ザクラスHD アジルサルタン(アジルバ)20mg アムロジピン5mg
アテディオ バルサルタン(ディオバン)80mg シルニジピン(アテレック)10mg
(ARB+利尿薬)配合剤
製品名 成分A 成分B
エカード配合錠LD カンデサルタン(ブロプレス)4mg ヒドロクロロチアジド6.25mg
エカード配合錠HD カンデサルタン(ブロプレス)8mg ヒドロクロロチアジド6.25mg
プレミネント配合錠LD
ロサルヒド配合錠LD
ロサルタン(ニューロタン)50mg ヒドロクロロチアジド12.5mg
プレミネント配合錠HD
ロサルヒド配合錠HD
ロサルタン(ニューロタン100mg ヒドロクロロチアジド12.5mg
コディオ配合錠MD
バルヒディオ配合錠MD
バルサルタン(ディオバン)80mg ヒドロクロロチアジド6.25mg
コディオ配合錠EX
バルヒディオ配合錠EX
バルサルタン(ディオバン)80mg ヒドロクロロチアジド12.5mg
ミコンビ配合錠AP
テルチア配合錠AP
テルミサルタン(ミカルディス)40mg ヒドロクロロチアジド12.5mg
ミコンビ配合錠BP
テルチア配合錠BP
テルミサルタン(ミカルディス)80mg ヒドロクロロチアジド12.5mg
イルトラ配合錠LD イルベサルタン100mg
(アバプロ)
トリクロルメチアジド1mg
イルトラ配合錠HD イルベサルタン200mg
(アバプロ)
トリクロルメチアジド1mg
高血圧(Ca拮抗+ARB+利尿薬)配合剤
製品名 成分A 成分B 成分C
ミカトリオ配合錠 テルミサルタン80mg
(ミカルディス)
アムロジピン5mg
(アムロジン)
ヒドロクロロチアジド12.5mg

 

心不全

心不全とは

心不全とは、“心臓の機能が低下することによって、心臓が全身の各臓器に血液を十分に送り出せない状態”のことで、日本循環器学会の定義では、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気とされています。

 

心不全分類

心臓機能のうちどの働きがどの程度低下しているのか、その低下が急に起こってきたのか(急性心不全)、徐々に起こってきたのか(慢性心不全)によって、心不全の種類や程度はさまざまに分類されます。 心不全は、臨床的に急性心不全と慢性心不全左心不全と右心不全収縮期心不全と拡張期心不全などに分類されます。 治療上の立場から、急性心不全と慢性心不全の分類法が一番有用です。

心不全の症状

  1. 乏尿、四肢冷感、めまい、だるさ、血圧低下など:血液を送り出す能力が低下して起こります。 
  2. 息苦しさ(労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起座呼吸など): 肺に血液がうっ滞すると(肺うっ血)呼吸困難が生じます。 
  3. むくみ(下腿浮腫、顔面浮腫、肝腫大、腹水など): 体の各部分にうっ滞が起こると浮腫が生じます。

心不全のステージ

心不全の病期ステージはステージAからステージDまでの4つに分けられます。治療方法はステージによって様々ですが、共通していることは一貫して薬物療法を行うということです。

一人ひとりの症状とステージに合わせた薬物療法を行うことで、進行を防ぐことができます。

ステージ
治療
A

心不全リスクは高いが、

心疾患は併発していない状態。

ACE阻害薬などの薬物療法を行う。

B

心疾患は併発しているが、

無症候の状態。

ACE阻害薬やβ遮断薬などの薬物療法を行う。

また、症例に応じては血行再建を行う。

C

心不全症候が出現している状態。

集学的治療が望まれる段階。

薬物療法ではACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン受容体拮抗薬、利尿薬などを服用。

症例に応じて不整脈治療、心臓再同期療法、弁膜症カテーテル治療、外科的治療を行う。

D

難治性心不全

集学的治療が望まれる段階。

薬物療法ではACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン受容体拮抗薬、利尿薬などを服用。
症例に応じて不整脈治療、心臓再同期療法、弁膜症カテーテル治療、外科的治療を行う。

 

心不全の治療

心不全の治療方法は、急性心不全と慢性心不全では異なります。

急性心不全での治療目標は、患者さんが自覚している諸症状を緩和し、臓器のうっ血状態を改善することで、救命を図り、容態を安定させることにあります。重症な場合が多く、精査・加療するための入院可能な病院へ迅速に搬送する必要があります

慢性心不全での治療目標は、①安静時の自覚症状を軽減すること、②運動耐容能を改善させ、運動時の自覚症状を軽減すること、③長期生命予後を改善することの3点です。。多くはクリニックの外来通院が必要です。

原因治療:

急性心筋梗塞が原因で心不全が起こっているのであれば、カテーテル治療(カテーテルを使い血管内にバルーン〈風船〉やステントを留置する治療)やバイパス手術(閉塞箇所を迂回する血行路を作る治療)を行なって冠動脈の閉塞状況を改善し、弁膜症が原因なら、弁置換術(弁の取り換え)や弁形成術(弁の修復)などの手術を行なって弁の不良を改善し、不整脈が原因なら、それに対する治療を行なう、といった具合です。

対症療法:

心不全は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら経過する病気であり、上手に付き合っていく必要があります。そのため、①心不全の悪化の原因を避ける事。②心不全の悪化のサインに早く気づく事。③食事療法・ 内服を必ず継続し、 自己管理を徹底する事の3つが重要です。

心不全の悪化の原因を避けましょう

  ・薬の飲み忘れ
  ・塩分のとりすぎ
  ・過労・運動不足
  ・感染(かぜ・肺炎)
  ・喫煙・お酒の飲み過ぎ
  ・我慢して受診しないなど

心不全の悪化のサインに早く気づきましょう

  ・むくみが増した
  ・尿の量やトイレに行く回数が減った
  ・息苦しさが増した
  ・いつもより脈が速い、ひどい動悸がする
  ・咳や痰がよくでる
  ・数日で2kg以上体重が増加した
  ・食欲がなくなってきた

自己管理を徹底しましょう

  ・ 薬を飲み忘れない
  ・ 塩分を控える
  ・ 適度な運動
  ・ 禁煙・節酒
  ・ 感染予防
  ・ 心不全悪化の症状を認めたらすぐかかりつけ医と相談する

狭心症

狭心症とは

狭心症とは心臓を栄養する冠動脈が狭くなることで血液の流れが悪くなり、心筋に十分な酸素が行き渡らなくなるために、胸が圧迫されるような痛みなどの発作が生じる病気です。痛みはときに胸だけでなく肩や首、後頭部やみぞおちなどに感じることもあります。また、発作は一般的に数分で治まります。。

狭心症を疑うポイント

・突然の胸の痛みや、締めつけられるような圧迫感

・息切れ、冷や汗、腕や背中の痛みを伴う

・労作などで症状が増強し、安静で軽快する

・症状は15分以内で改善する

・肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙などのリスク因子を持っている

狭心症の種類

狭心症は、冠動脈が狭くなった部分の程度や、狭くなる原因、発作のひどさ、発作の頻度によって細かく分類されています。そ

労作性狭心症とは、「階段を上がる」「力仕事をする」「運動する」または精神的に興奮した時におこる狭心症で、発作は5分以内におさまることが多い。

安静時狭心症、冠攣縮性狭心症とは、夜間の就寝中や明け方に突然発作が起きる狭心症で、発作が数分~15分近く続くことがあります。

安定狭心症:発作の起きる状態、発作の強さや回数、持続時間などが一定の範囲にとどまっている状態です。

不安定狭心症:狭心症発作の回数や程度が一定していない状態です。近い将来に心筋梗塞へ進行する可能性が高いので、とくに注意が必要です。

微小血管狭心症:狭心症の発作が起こっているにもかかわらず、冠動脈に狭窄部位が見られない場合や、誘発試験を行っても冠動脈の痙攣が起こらない狭心症。

狭心症の症状が進行して心筋梗塞が発症したときに命の危険が起こります。狭心症の段階で適切な治療を行うことで、心筋梗塞の発症を予防することが重要です。

狭心症の治療

狭心症治療の基本は動脈硬化を悪化させる生活習慣病を食事・運動・禁煙・薬などで改善すること。薬剤内服で効果がみられない場合はやカテーテル治療やバイパス手術が検討される場合が多いです。

薬物治療

・発作時の症状を鎮める薬:

   ニトログリセリンなど…舌下錠とスプレーがあり、発作が起きた場合に備えて携帯し、症状が出たらすぐに使用する。即効性が高く、服用後1~2分で発作の症状を軽減できます。

・症状を予防する薬:
   β(ベータ)遮断薬…心拍数を抑え、心臓の負担を軽くする。

   カルシウム拮抗薬、硝酸薬…血管を広げる。

・動脈硬化を改善する薬
   スタチン…コレステロール値を下げたり、動脈硬化でできたプラーク(血管内壁のこぶ)を安定させる。

・血栓を防ぐ薬
   アスピリンなど…血を固まりにくくする。

カテーテル治療

  冠動脈の狭さくが進む場合など、心筋梗塞を起こしやすい狭心症には、カテーテル治療を検討します。カテーテルを冠動脈に挿入し、狭くなった部位をバルーン(風船)やステント(金属の筒)で拡張する血管内治療です。内科的治療であり、体への負担が比較的少なく、入院期間も数日程度で済むケースが多く見られます。

バイパス手術

  冠動脈の狭くなっている部位や閉塞している部位を迂回し、新しい血管をバイパスとしてつなぐ外科手術です。自分の体内の別の部位にある血管を切り取り、一方を大動脈に、もう一方を冠動脈病変が起こっている部位の先につなぎます。カテーテル治療と比べて患者さんの負担が大きいです。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは、下肢の静脈がこぶ状に拡張して血管がボコボコと浮き出るなどの症状が現れる病気です。

症状

下肢静脈瘤は初期症状があまり目立たない場合もあります。代表的な症状としては、

  • だるさや疲労感
  • ほてり感やむくみ
  • 夜間のこむら返り
  • 静脈のぼこつきや変色

などが挙げられます。放置すると皮膚が茶色っぽく変色したり、潰瘍が生じるなど重症化リスクもあり、早めの受診が大切です。

静脈瘤の分類

下肢静脈瘤には大きく分けて「伏在静脈瘤」「網状静脈瘤」「クモの巣状静脈瘤」などの種類があります。また、重症度は外見だけでなく症状の有無からも評価されます。

・伏在静脈瘤:皮下の大伏在静脈や小伏在静脈が拡張し、太くうねりながら浮き出る

・網状静脈瘤:中程度の太さの静脈が網目状に広がり、比較的皮膚に近い部分で見られる

・クモの巣状静脈瘤:細い静脈がクモの巣のように広がり、赤紫色に見えることが多い

静脈瘤の重症度

軽度:ほとんどなし、あるいは軽いむくみ

中等度:だるさ、疲労感、こむら返りなど

重度:激しい痛み、湿疹、色素沈着、潰瘍形成など

治療法

保存的治療(生活習慣の改善)

症状が比較的軽度な場合には、まず生活習慣の改善や弾性ストッキングの着用など保存的治療が選択されることが多いです。血液の逆流を抑え、足のむくみや疲労感を軽減します。肥満が原因となっている場合は体重管理も重要です。

生活習慣のポイントとしては

  • ・長時間同じ姿勢を続けない
  • ・定期的にストレッチや屈伸運動を取り入れる
  • ・むくみを感じたら足を高くして休む
  • ・塩分を控えめにし、バランスの良い食事を心がける

     

    弾性ストッキング選択のポイント

     ・圧迫度合い: 弱圧~強圧まで様々なタイプがあり、症状や医師の指示に合わせて選択
     ・サイズ:  足首、ふくらはぎ、太もも周囲のサイズを正確に測定して適切なものを選ぶ
     ・種類(丈の長さ): ハイソックスタイプ、ストッキングタイプ、パンティストッキングタイプなどが存在

    医療用弾性ストッキングの種類と選択、各種弾性ストッキングの長所と短所、効果と目的に合わせた圧迫圧の選択、禁忌と慎重な使用が必要なケース、弾性ストッキング着用時に注意すべき合併症などについてhttps://www.almediaweb.jp/varix/stockings.htmlご参照してください。

    硬化療法

    硬化療法は、硬化剤と呼ばれる薬剤を拡張した静脈に注入し、血管内で炎症を起こして血管を閉塞させる治療法です。小さな静脈瘤やクモの巣状静脈瘤に適しており、比較的短時間かつ局所麻酔で行えることから患者さんの負担も少なく済みます。

    レーザー治療・高周波治療

    近年では、血管内にカテーテルを挿入し、血管を内側から焼灼して閉塞させる「血管内レーザー治療」や「高周波治療」が主流となっています。切開が少なく、術後の傷跡も最小限に抑えられるため、美容面や回復の早さの点でメリットが大きいです。

    外科的手術(ストリッピング手術など)

    血管内治療が適さない症例や、伏在静脈が大きく拡張している場合には、ストリッピング手術など外科的処置が検討されます。皮膚を切開して拡張した静脈を抜去(ストリッピング)する方法です。

    浮腫

    浮腫とは水分(細胞外液)が血管やリンパ管外に染み出し、皮下組織(間質)に過剰に貯留する状態です。

    浮腫の分類

    部位による分類:「全身性浮腫」と「局所性浮腫」

    局所性(片側性):下肢深部静脈血栓形成、蜂窩織炎など
    両側性(全身性):心不全・腎不全・肝硬変・甲状腺機能低下症・薬剤性浮腫など

    圧痕による分類:「圧痕性浮腫」と「非圧痕性浮腫」

    圧痕性浮腫:心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、深部静脈血栓症、薬剤性など

    非圧痕性浮腫:甲状腺機能低下症による粘液水腫、リンパ浮腫、好酸球性血管性浮腫、脂肪浮腫など。

    浮腫の検査

    症状 身体所見 検査
    心不全 呼吸困難、夜間の発作性呼吸困難、疲労感 頸静脈怒張、肝腫大、両側性の圧痕性浮腫 胸部X線、心エコー、BNP
    肝硬変 腹部膨満、易疲労感、黄疸 腹水、蜘蛛状血管腫、肝掌 肝機能検査、腹部超音波、アルブミン

    腎不全

    尿量減少、血尿、蛋白尿

    顔面や下肢の浮腫

    尿検査、腎機能検査、腎超音波

    深部静脈血栓症

    片側性の下肢痛、腫脹、発赤

    片側性の圧痕性浮腫、腓腹筋把握痛

    Dダイマー、下肢静脈エコー

    リンパ浮腫

    片側または両側の下肢の腫脹、重さ感

    非圧痕性浮腫、皮膚硬化

    下肢静脈エコー

    薬剤性浮腫

    下肢の腫脹、体重増加

    両側性の圧痕性浮腫

    投薬歴の確認(例:カルシウム拮抗薬、NSAIDs、ステロイド)

    甲状腺機能低下症

    疲労感、寒気、便秘、体重増加

    非圧痕性浮腫、皮膚乾燥

    甲状腺機能検査

    静脈不全

    下肢のだるさ、痛み、夜間の浮腫の悪化

    静脈瘤、色素沈着

    下肢静脈エコー、ドップラー検査

      閉塞性動脈硬化症(ASO)

      閉塞性動脈硬化症とは

      閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化により、手や足の血管の狭窄(血管が狭くなる)や閉塞(血管
      が詰まる)を起こして、血液の流れが悪くなり、手先や足先へ栄養や酸素を十分に送り届けること
      ができなくなる病気です。動脈硬化は、さまざまな病気を引き起こす原因となります。

      ◆脳の動脈の狭窄・閉塞→一過性脳虚血発作や脳梗塞

      ◆心臓の冠動脈が狭窄・閉塞→狭心症や心筋梗塞

      ◆下腿・足の動脈が狭窄・閉塞→下肢閉塞性動脈硬化症(PAD)

      原因

      閉塞性動脈硬化症になりやすい危険因子は、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患と同様で、高齢、男性、糖尿病、喫煙、高血圧、高脂血症(特に低HDL血症、高LDL血症)であり、メタボリック症候群とも密接な関係があります。特に、糖尿病の人は糖尿病で無い人に比較して、下肢切断が7倍の頻度で発生します。

      症状

      この疾患は慢性的な経過をとることが多いため、下記の臨床症状分類(Fontain分類)が病気の進⾏度をみる指標の1つになります。初期症状は『冷感』や『しびれ感』であるため見逃したり、軽く考えて放置してしまいがちです。

      Fontain 分類

      ◆Ⅰ度・・・冷感・しびれ感
       ・手足が冷たい
       ・手足がしびれる
       ・手足の指が青白い
      ◆Ⅱ度・・・間歇性跛行(かんけつせいはこう)
       ・一定距離を歩くと、主にふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり、休まなければならない。(数分で回復)
       ・階段をのぼるのは特につらい

      ◆Ⅲ度・・・安静時疼痛(あんせいじとうつう)
       ・じっとしていても手足が痛み、夜もよく眠れない
       ・刺すような痛みが常に持続している

      ◆Ⅳ度・・・潰瘍・壊死(かいよう・えし)
       ・手足に治りにくい潰瘍ができる
       ・壊死部は黒くなる

      検査

      上腕と⾜での⾎圧⽐ABI=⾜での⾎圧測定値/上腕での⾎圧測定値)で、下肢の循環障害の有無をまず判断します。

               1.0が正常、0.9未満が異常で、重症例では0.5以下のことが多いとされています。

      超音波や動脈造影を使って下肢動脈血管の太さや狭窄、閉塞を調べます。
      ◆サーモグラフィーで皮膚表面の温度を調べます。

      治療

      動脈硬化の危険因子があれば、生活習慣の改善(禁煙・下肢の清潔保持等)・生活習慣病(糖尿病・高血圧・高コレステロール血症等)の治療などが基本です。
      ①運動療法

      ②薬物療法(抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬、血栓溶解剤等)、

      ③血管内治療:a)バルーンカテーテルによる拡張術、b)ステント留置術

      ④バイパス術

      ⑤足趾や患肢切断術(壊疽例)