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気血水の判断
東洋医学では、人のカラダを構成する基本的な要素は気・血・水だと考えています。
気はエネルギー、血はカラダの中を流れる血液、水はカラダの中を流れる血以外の液体をさしています。どれかの成分が不足したり、停滞したり、3つの要素のバランスを崩れたりするとカラダに不調が起きます。気と血は体を温める性質があり、水は体の熱を冷ます性質があります。
気の異常:気虚、気鬱、気逆
「気」は「エネルギー」「元気」みたいな物を指します。気の異常には
- 気の量が十分に足りない→「気虚(ききょ)」
- 気が体内をうまくめぐっていない→「気鬱(きうつ)」
- 気が逆流して上半身に集まっている→「気逆(きぎゃく)」の3種類があります。
●「気虚」
「エネルギーが足りない」「元気が出せない」状態
・全身倦怠感
・疲れやすい
・食欲がない
・日中眠い
代表的な生薬:人参、黄耆、白朮、茯苓、大棗など
代表的な漢方:
◎補中益気湯(41番)
◎四君子湯(75番)
●「気鬱・気滞」
本来、体を巡っている「気」どこかで滞っている状態
・頭→抑うつ 気分が塞ぐ 頭が重い
・喉→のどのつかえ感や何かがのどにへばりついている感覚
・胸→息苦しい
・胃→げっぷ
・腹→ガス貯留、腹部膨満
・手足→腫れていて痺れる
代表的な生薬:厚朴、紫蘇葉、香附子、半夏など
代表的な漢方:
◎半夏厚朴湯(16番)
◎香蘇散(70番)
◎茯苓飲合半夏厚朴湯(116番)
●「気逆」
気の巡りは、本来の流れ(体の中心から末端へ、上半身から下半身へ)が逆流した状態。
| 上衝症状 |
頭痛、めまい 動悸、胸部不快感 のぼせ、顔面紅潮、ひえのぼせ |
| 消化器症状 |
吐気、嘔吐 ゲップ、逆流感 みぞおち部の突き上げ感 |
| 呼吸器症状 |
激しい咳 呼吸困難感 喘鳴 |
代表的な生薬:桂皮、紫蘇葉、呉茱萸湯、黄蓮、半夏、厚朴
代表的な漢方:
◎苓桂朮甘湯(39番):めまい、動悸、神経症状を伴う気逆に適応
◎苓桂甘棗湯(K190番):不眠、精神不安を伴う場合に選択
◎桂枝加竜骨牡蛎湯(26番):虚弱体質で下腹部に腹直筋緊張を認める方
血の異常:瘀血、血虚
「血」は、血液そのものより、血液の働きも含めたもっと広い意味も持っている。血の異常には、
- 血の量が十分に足りない→「血虚(けっきょ)」
- 血が体をうまくめぐっていない→「瘀血(おけつ)」の2種類があります。
●瘀血:血の巡りが悪い
・唇や歯茎や舌が赤紫や黒っぽい
・毛細血管が浮き出ている
・目の下にクマがある
・皮下出血(青あざ)
・舌の裏側の血管がどす黒く浮き出ている。
・おへその2本指分斜め下の圧痛(臍傍圧痛)
◎イライラ
◎不安
◎生理痛が強い
◎手足の冷え
◎肩こり
◎皮膚のツヤがなくなる、
◎ニキビ
◎クマ
◎シミ
◎そばかすができやすい
原因:運動不足、過食、肉食、ストレスなど
代表的な生薬:牡丹皮(ボタンピ)、桃仁(トウニン)、芍薬(シャクヤク)、当帰(トウキ)、川芎(センキュウ)
代表的な漢方:
◎桃核承気湯(61番): 便秘、のぼせ、不眠、不安、興奮などの症状に。
◎桂枝茯苓丸(25番): 月経不順、更年期障害、婦人科疾患、皮膚疾患、循環器疾患、ストレス性疾患などに。
◎通導散(105番): 便通の改善や不安、いらだちなどの精神神経症状に。
◎当帰芍薬散(23番)→血の巡りを良くして、体を温めます。
◎加味逍遙散(24番)→気を下に降ろして、熱を冷まします。自律神経も整えます。
◎桂枝茯苓丸料加薏苡仁(125番)→血の巡りを良くし、肌のターンオーバーを活性化させます。
●血虚
代表的な症状:
皮膚が乾燥したり、抜け毛、爪が割れやすい、こむら返りなんかの症状が起こります。
集中力がない、ぼーっとする 眠れないなんかの精神症状もあります。
代表的な生薬:当帰、川芎、芍薬、地黄
代表的な漢方:
◎四物湯(71番): 体力虚弱で冷え症の体質に。
◎当帰芍薬散(23番): 冷え性や貧血の方、頭重やめまい、耳鳴りのほか、肩こりや頭痛などの不調にも。
◎当帰飲子(86番): 血と気を補う生薬が含まれ、冷え性や皮膚の乾燥、湿疹や皮膚炎などの乾燥肌に。
◎七物降下湯(46番): 血と気の巡りを整えることで寒熱のバランスを改善し、のぼせや血圧上昇を抑えます。
◎十全大補湯(48番):→気を補う「四君子湯」+血を補う「四物湯」の両方の成分を持つ。
◎人参養栄湯(108番)→体力と気を補います。
「水」の異常:「水毒・水滞」「津虚」
水の異常には、
- 水が体をうまくめぐっていない→「水毒(すいどく)」
- 体内の津液(潤い)が不足している状態「津虚」の2種類があります。津液は、血液以外の体液で、皮膚や粘膜、内臓を潤し、からだを冷やす働きがあります。
●「水毒、水滞」
代表的な症状:
・むくみ、腫れ
・胸水、腹水、関節液などが溜まる
・心窩部チャプチャプ
・めまい、耳鳴り、立ちくらみ
・気候や天気で悪化する頭痛
代表的な生薬:沢瀉、茯苓、蒼朮、猪苓
代表的な漢方:
◎五苓散(17番):頭痛や下痢に
◎猪苓湯(40番):排尿痛や下痢に
◎真武湯(30番):冷えや倦怠感、むくみなどに
◎越婢加朮湯(28番 )
:関節痛や水疱湿疹
- はれや熱感のある、関節炎、関節リウマチなどの痛み
- はれや熱感のある、急性のアレルギー性症状(花粉症、湿疹)
- 汗・口渇・尿量減少をともなう全身性の浮腫(腎炎、ネフローゼ)
◎防已黄耆湯(20番 ):水太り+膝の関節痛に
●「津虚」
津虚(しんきょ)は、体内の正常な水液(津液)が不足した状態。滋陰剤や利水剤を使用することが推奨されます。
原因:過労、睡眠不足、加齢、乾燥した環境、ストレスなど
代表的な症状:
・喉・口の乾き
・肌・唇・鼻の乾燥
・便秘・尿量の減少
・目の乾き・疲れ
・乾いた咳・声のかすれ
・ほてり・寝汗・微熱
・食欲不振・胃の不快感
・関節のポキポキ音・動きづらさ
代表的な生薬:麦門冬、天門冬、地黄、人参、五味子など
代表的な漢方:
◎麦門冬湯(29番):空咳、気管支炎、気管支喘息、咽頭炎、嗄声など幅広い呼吸器症状に適応。
◎滋陰降火湯(93番):麦門冬湯よりも潤す生薬が多く入っており、特に夕方から夜にかけて出現する咳、就寝時や夜間に悪化する咳、温まると増悪する咳嗽、皮膚粘膜の乾燥を伴う場合に適応。
参考WEB ページ
- ツムラ 気血水チェック




