片頭痛の治療は、 ①発作が起きたときに痛みを抑える薬(急性期治療) と ②発作を起こりにくくする薬(予防治療) の2つに分かれます。 症状の強さ・頻度・生活への影響に応じて使い分けます。
1. 急性期治療(発作時に使う薬)
片頭痛が起きたときに「痛み・吐き気・光過敏」を速やかに抑える目的で使用します。
●トリプタン系(片頭痛治療の中心)
効能効果:
脳の血管の拡張を抑え、片頭痛の痛みを改善します。 吐き気・光過敏などの随伴症状にも効果があります。片頭痛の急性期治療で中心となる薬剤です。 それぞれ作用は同じですが、効き始めの速さ・持続時間・副作用の出やすさに違いがあります。
代表薬:
- ・イミグラン50㎎錠(スマトリプタン):最も歴史が長い、効果発現が早い、注射剤も存在
- ・マクサルト10㎎錠(リザトリプタン):速効性が高い
- ・ゾーミック2.5㎎錠(ゾルミトリプタン):持続が長く、OD錠あり
- ・レルパックス20㎎錠(エレトリプタン):効果が強め、再発しやすい片頭痛に向きます
- ・アマージ2.5㎎錠(ナラトリプタン):作用が穏やかで持続が長い、「ゆっくり長く効く」タイプ、副作用が比較的少ない
特徴:
- ・片頭痛に特化した薬
- ・発作の初期に使うとより効果的
- ・市販薬で改善しない方に有効
● CGRP受容体拮抗薬(ゲパンチ系:新しい治療)
効能効果:
片頭痛の原因物質「CGRP」の働きを抑え、痛みを改善します。
代表薬:
-
・ラスミジタン(レイボーReyvow)50mg/100mg:急性期。眠気が強く出るため運転不可。
-
・ウブロゲパント(ウブレルビUbrelvy):急性期。副作用が少なくトリプタンが使えない方にも。
-
・リメゲパント(ナーブロックNurtec ODT):急性期・予防。1日1回で扱いやすく副作用が少ない。
特徴:
- ・トリプタンが使えない方にも使用可能
- ・眠気などの副作用が少ない
- ・新しい治療選択肢として注目
● NSAIDs(痛み止め)
効能効果:
炎症を抑え、痛みを軽減します。
代表薬:
- ・ロキソニン
- ・カロナール
- ・ボルタレン
- ・SG配合顆粒
特徴:
- ・軽度〜中等度の片頭痛に有効
- ・胃への負担が出ることがある
- ・単独で効かない場合はトリプタンと併用することも
● 制吐剤(吐き気が強い場合)
代表薬:
- ・メトクロプラミド
- ・ドンペリドン
特徴:
- ・吐き気を抑えることで、頭痛薬の吸収を改善
- ・片頭痛の随伴症状に有効
2. 予防治療(発作を起こりにくくする薬)
月に数回以上片頭痛が起こる方、生活に支障が大きい方に行います。
● CGRP関連抗体薬(注射薬:最新治療)
効能効果:
片頭痛の原因物質CGRPをブロックし、発作を減らします。
代表薬:
- ・ガルカネズマブ
- ・フレマネズマブ
- ・エレヌマブ
特徴:
- ・月1回または3か月に1回の注射
- ・従来の予防薬より副作用が少ない
- ・重度片頭痛の新しい選択肢
● 抗てんかん薬
代表薬:
- ・バルプロ酸
- ・トピラマート
特徴:
- ・片頭痛の発作頻度を減らす
- ・眠気やしびれなどの副作用に注意
● β遮断薬
代表薬:
- ・プロプラノロール
- ・メトプロロール
特徴:
- ・血管の過剰な反応を抑える
- ・高血圧を伴う方に適することがある
● Ca拮抗薬
代表薬:
-
・ロメリジン
特徴:
- ・日本でよく使われる予防薬
- ・副作用が比較的少ない
3. 薬の使い分け
| 状況 | 選択されやすい薬 |
|---|---|
| 軽度の片頭痛 | NSAIDs(ロキソニンなど) |
| 中等度〜重度の片頭痛 | トリプタン系 |
| トリプタンが使えない・効かない | CGRP受容体拮抗薬(ゲパンチ系) |
| 吐き気が強い | 制吐剤を併用 |
| 発作が頻繁に起こる(月数回以上) | 予防薬(抗体薬・抗てんかん薬・β遮断薬など) |
| 重度で生活に支障が大きい |
CGRP抗体薬(注射) |
治療フローチャート
■ 軽度(我慢できる痛み)
・NSAIDs(ロキソニン、カロナール等)
・暗い部屋で安静
↓
改善しない → 中等度〜重度へ
↓
■ 中等度〜重度(動けない・吐き気・光過敏)
・トリプタン系(スマトリプタン等)
・吐き気が強い → 制吐剤併用
↓
トリプタンが使えない/効かない
↓
・CGRP受容体拮抗薬(ゲパンチ系)
■ 発作が頻繁(月に数回以上)
予防治療を検討
・CGRP抗体薬(ガルカネズマブ等)
・抗てんかん薬(バルプロ酸、トピラマート)
・β遮断薬(プロプラノロール)
・Ca拮抗薬(ロメリジン)
■ どの段階でも重要
・睡眠・ストレス管理
・食事・姿勢の見直し
・誘因(寝不足、赤ワイン、チョコ等)の把握
参考サイト
片頭痛・偏頭痛の予防薬まとめ2026
片頭痛診療アップデート2026 — トリプタン・ジタン・ゲパント・抗CGRP抗体の使い分け完全ガイド
医学教育 頭痛 脳神経内科
片頭痛の急性期治療と予防療法に使用する薬剤の使い分けを解説!




