骨粗鬆症
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは、骨強度が低下し、骨折のリスクが増大した状態です。
・骨強度=骨量(約 70%)+骨質(約 30%)
・骨量は、単位面積あたりの骨密度です。主に骨の体積やミネラル(主にCaやP)の含有量の影響をうけます。骨量は成長とともに増加し、30歳頃をピークにその後は徐々に減少します。特に女性は閉経後に急激にが減少します。適切なケアや治療をうけないと、丈夫な骨から徐々にすかすかになっていく可能性あります。
・骨質は、骨の構造、強度やしなやかさです。骨の微細構造、骨代謝回転や骨組織の石灰化等の複数の要素の影響をうけています。特に、運動が骨質によい影響を、 糖尿病や高血圧などの生活習慣病が骨質に悪影響を及ぼします。
骨粗鬆症はに閉経や加齢による「原発性」と他の疾患や薬剤による「続発性」に分けられます。
「続発性骨粗鬆症」の原因
骨粗鬆症は自覚症状が現れにくい病気です。そのため、多くの方が骨折するまで気づきません。以下のようなことがあれば、気軽に相談してください。
※1 1型糖尿病、成人の骨形成不全、性機能低下症、早期閉経(45歳未満)、栄養失調、慢性肝疾患
※2 ビール(5度):コップ(285ml)3杯以上
日本酒(15度):1.5 合(270ml )以 上
ウイスキー(40度):シングル3杯(90ml)以上
骨粗鬆症の検査方法には以下の方法があります。
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骨密度測定 |
骨代謝マーカー |
| 被爆 | あり |
なし |
| 評価 | 部位ごと | 全身 |
| 意義 | 診断に有用 |
病態評価にも薬剤選択にも効果判定にも有用 |
| 骨折リスク | 検査時点及び将来のリスク |
将来のリスク |
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変動 |
半年から₁年以上で変動 →効果早期判定できない |
₁か月から₃か月で変動 →効果の早期判定に有用 |
正常 |
骨量減少 |
骨粗鬆症 |
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| YAM% | ≧80% | 79 ~ 71% | ≦70% |
| Tスコア | ≧-1 | –1~–2.5 | ≦-2.5 |
骨代謝マーカーには、「骨吸収マーカー」、「骨形成マーカー」があります。骨粗鬆症の病態の評価、治療薬選択時の診断補助、薬物治療効果の評価に有用です。各マーカーの特徴は下の表にまとめます。
| マーカー種類・名 | MSC(%) | 腎機能の影響 | |
|---|---|---|---|
|
骨吸収
|
TRACP-5b | 12.4 | — |
| NTX | 16.3 | ++ | |
|
骨形成 |
BAP | 9.0 | — |
| P1NP | 14.4 | — | |
| 骨マトリクス関連 | ucOC | 32.2 | ++ |
最小有意変化(MSC):骨代謝マーカーの日間変動を2倍することで求められる値。治療前後でマーカー値の変化はこの値を超えて変化した場合に、その変化は日間変動に起因するものではなく、治療による変化であると判定されます。
原発性骨粗鬆症は、加齢や閉経に伴う骨密度低下を、骨密度測定と脆弱性骨折の有無を組み合わせて診断します。他の病気や薬による続発性骨粗鬆症を除外することが重要です。

低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず,骨評価の結果が下記の条件を満たす場合,原発性骨粗鬆症と診断する。
I.脆弱性骨折(注1)あり
1.椎体骨折(注2)または大腿骨近位部骨折あり
2.その他の脆弱性骨折(注3)があり,骨密度が YAM の 80%未満
II.脆弱性骨折(注1)なし
骨密度が YAM (若年成人平均値)の 70%以下または-2.5SD 以下
注 1 軽微な外力によって発生した非外傷性骨折。軽微な外力とは,立った姿勢からの転倒か,それ以下の外力をさす。
注 2 形態椎体骨折のうち,2/3は無症候性。鑑別診断の観点からも脊椎 X線像を確認することが望ましい。
注 3 その他の脆弱性骨折:軽微な外力によって発生した非外傷性骨折で,骨折部位は肋骨,骨盤,上腕骨近位部,橈骨遠位端,下腿骨。
脆弱性骨折の頻度:脊椎椎体>大腿骨近位部>橈骨遠位、上腕骨頸部>骨盤
| 条件 | 診断 |
|---|---|
| 椎体骨折または大腿骨近位部骨折あり | 骨密度に関係なく骨粗鬆症 |
| その他の脆弱性骨折あり+YAM 80%未満 | 骨粗鬆症 |
| 脆弱性骨折なし+YAM 70%未満 | 骨粗鬆症 |
| YAM 70〜80%かつ骨折なし | 骨量減少(要経過観察) |
YAM 70〜80%の「骨量減少」域は、骨粗鬆症ではないものの治療介入を検討する重要なゾーンです。ここで手を打てるかどうかが、将来の骨折リスクを大きく左右します。このゾーンを見過ごさないことが重要です。
骨粗鬆症を未然に発見し、骨折を防ぐことが非常に重要です。症状がない方も、定期的な骨密度測定をお勧めします。
予防するには、カルシウムやビタミンD・K、タンパク質をバランスよく摂る食事、ウォーキングなどの骨に重力がかかる運動、適度な日光浴が大切です。禁煙や過度な飲酒を控え、40歳以上や閉経後は定期的に骨密度測定を受けましょう。
食事のポイント
・カルシウム:牛乳、乳製品、小魚、大豆製品を毎日摂る。
・ビタミンD・K:サケ、キノコ類、納豆や緑黄色野菜を一緒に摂り吸収と定着を助ける。
・タンパク質:肉・魚・大豆で筋肉と骨の土台を維持する。
・控えるもの:過剰なアルコール、カフェイン、塩分、喫煙は避ける。
運動と生活習慣
・荷重運動:ウォーキングやジョギング、階段昇降で骨に刺激を与える。
・日光浴:適度に太陽光を浴びて体内でのビタミンD生成を促す。


大きく分けて1)骨吸収抑制薬、2)骨形成促進薬、3)骨吸収抑制・骨形成促進の両方の作用を持つ薬剤、4)そのほかにの4種類があります。
骨吸収抑制薬の選択は、患者の骨折リスク、年齢、併存疾患、腎機能、服薬アドヒアランスなどを考慮して行います。以下に、患者の状態別の薬剤選択のポイントを示します。
| 患者像 | 推奨薬剤 |
| 大腿骨近位部骨折のリスクが高い高齢者 | ・BP製剤 ・デノスマブ |
| 内服困難な患者 | ・静注BP製剤 ・デノスマブ |
| 腎機能低下患者 | ・デノスマブ |
|
複数の椎体骨折を有する症例、または 骨吸収抑制薬使用中に骨折を生じた例 |
テリパラチドへの変更 |
| 若年閉経後女性 | SERM |
・BP製剤:3〜5年使用後、骨折リスクを再評価
高リスク患者:継続または他剤へ変更
低リスク患者:休薬検討
・デノスマブ:中止時に骨吸収が一過性に亢進するため、中止時には他の骨吸収抑制薬へ変更
・テリパラチド:24ヶ月間の限定使用後、骨吸収抑制薬へ変更
骨吸収抑制薬の選択においては、エビデンスに基づく有効性評価を参考にしつつ、個々の患者の状態や生活背景を考慮した総合的な判断が重要です。また、カルシウムとビタミンDの十分な摂取は、すべての骨粗鬆症治療の基本となります。