循環器のくすりその1:メインテートとアーチスト|神戸市兵庫区|湊川ファミリークリニック|湊川駅徒歩5分の内科・糖尿病内科・消化器内科

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循環器のくすりその1:メインテートとアーチスト

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α受容体とβ受容体の基本知識

α受容体もβ受容体も交感神経系において重要な役割を果たす受容体です。α受容体は主に血管平滑筋に分布し、その活性化(特にα1受容体)により、血管収縮や血圧上昇などの生理作用を引き起こします。血管の収縮に関与しています。β受容体は主に心臓、肺、血管に分布し、その活性化により、心拍数の増加、心筋収縮力の増強、気管支拡張、血管拡張など様々な生理作用を引き起こします。α受容体は2つのサブタイプ、β受容体は3つのサブタイプに分類されます。

α受容体の分類

α1受容体

α2受容体

分布 血管平滑筋、尿道括約筋 交感神経終末、膵臓β細胞
機能 血管収縮、尿閉 ノルアドレナリン放出抑制、インスリン分泌抑制
細胞内情報伝達 ホスフォリパーゼCの活性化、細胞内Ca2+濃度の上昇 アデニル酸シクラーゼの抑制、cAMP濃度の低下
β受容体の分類

β1受容体

β2受容体

β3受容体

分布 心臓 気管支平滑筋、血管平滑筋 脂肪組織
機能 心拍数増加、心筋収縮力増強 気管支拡張、血管拡張 脂肪分解促進
細胞内情報伝達 アデニル酸シクラーゼの活性化、cAMP濃度の上昇

α受容体とβ受容体の生理意義

役割 α受容体 β受容体
ストレス反応 急性ストレス時の血圧維持 エネルギー動員と心拍出量増加
エネルギー代謝 インスリン分泌抑制を介しエネルギー貯蔵の促進 脂肪分解や熱産生を介しエネルギー消費の促進
循環器系 血圧維持と血流分配の調節 運動時の心拍出量増加と骨格筋血流増加
呼吸器系 運動時や低酸素状態での気道拡張

 

α受容体遮断薬とβ受容体遮断薬

 メインテート(ビソプロロール)もアーチスト(カルベジロール)も高血圧や心不全の治療に用いるβ遮断薬です。違いをまとめてみました。

メインート
アーチスト
受容体 β1遮断(心臓)作用:β2遮断(気管)作用=75:1 α遮断+β遮断
標的 β1選択性が高く、心臓以外への作用が少ない 心臓以外に、気管支にも血管平滑筋にも作用
剤型 0.625、2.5、5  mg 錠 1.25、2.5、10、20 mg錠
適応

表1に参照

喘息やCOPD 使いやすい 使いにくい
頻脈 使いやすい 使いにくい
低血圧やめまい 使いやすい 使いにくい
高血圧 使いやすい 使いやすい
徐脈 使いにくい 使いやすい

 

  メインテート
アーチスト
効能又は効果 0.625 2.5 5 1.25 2.5 10 20
本態性高血圧症(軽症~中等症)
狭心症
心室性期外収縮
虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
頻脈性心房細動
腎実質性高血圧症
〇:効能あり -:効能なし